公共土木施設の被害額から見る自然災害の趨勢

2019年11月01日

(神戸 雄堂)

■要旨
 
  • 近年、各地で自然災害が頻発し、多くの人的被害・物的被害が生じている。それも、前例のない大規模災害が増加しており、国や地方公共団体に求められる役割が増している。災害対策に係る制度の一つである災害復旧制度は公共土木施設等に被害が生じた地方公共団体に対して、国庫補助を行うことで復旧に必要な財政負担を緩和し、迅速かつ確実に復旧事業を行う制度である。本稿では、河川や道路等の公共土木施設の災害復旧事業費から自然災害の趨勢を確認したい。
     
  • 2007年から17年までの公共土木施設災害復旧事業費の推移を見ると、東日本大震災が甚大な被害を招いた2011年に次いで、16年、17年の被害が大きくなっており、18年も西日本豪雨等で被害が拡大していることが見込まれる。自然災害別に見てみると、大規模地震を除けば、豪雨や台風による被害が地震を上回っており、かつ数年前から拡大している。
     
  • 07年から17年までの総額ベースで都道府県別の災害復旧事業費を比較すると、地域毎に大きな乖離が見られる。全体的に三大都市圏の被害が小さいが、被害額が比較的小さかった千葉県が今年になって大きな被害に見舞われたように、これまでの被害が少なかったからと言って、今後の安全が保証されるとは言い難い。我々人一人も自ら防災意識を高め、命を守ることがますます必要とされるだろう。

■目次

1――はじめに
2――災害対策に係る法律・制度について
3――近年の大規模災害の被害と趨勢
4――さいごに
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