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抜本改革という蜃気楼
2019年08月05日
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6月に公表された金融審議会報告書「高齢社会における資産形成・管理」は社会に様々な議論を巻き起こした。今年は5年に一度の年金財政検証の結果が発表される年でもある。そこで気になるのが、「年金制度を根本から議論しよう」という意見である。
議論を否定するつもりは全くない。しかし、年金制度は世代間の所得再分配の仕組みであり、総所得が一定なら、年金額を増やす方法は現役世代の負担を増やすしかない。現役の負担なしに年金を底上げしたいなら、豊かな高齢者の給付を減らし、そうでない高齢者に再分配することだ。また、積立方式に移行しても、いまの高齢者への年金を維持しているかぎり、後世代の負担は減らない。低金利が続けば、資産運用も簡単ではないだろう。
結局、どんな抜本改革であっても、費用負担という痛みを消すことはできない。支える側も支えられる側も豊かになるためには、イノベーションと成長を促し、雇用者全体の所得を増やすことである。もしも5年・10 年前の財政検証の際に済ませたはずの、蜃気楼のような「抜本的な改革」の議論がよみがえるのなら、私たちに学習する力が足りないと考えざるを得ない。
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