2|これまでの議論のポイントと今回の結論に至るまで
今回のモデル法改正の過程で議論になっていたポイントについては、
前回のレポートで報告した通りである。
今回の改正では、1) カバード・アグリーメントに含まれる再保険担保債務の違反の種類、2) 再保険担保に関する法律をどのように解釈するかについて州保険監督者に与えられる裁量権、について焦点が当てられていた。なかでも、カバード・アグリーメントの実施における一貫性の確保という観点から、「州保険コミッショナーの裁量」問題への対応が問題になっていた。
また、米国に所在する再保険会社を含むEU及び非EUの再保険会社に対する同等性の取扱いの確保が懸念されていた。
(1) 2018年6月11日のモデル法案に対する反応
NAICの2018年6月11日のモデル法案の下では、各EU加盟国の合意への遵守を決定する上で、州コミッショナーに裁量が与えられていた。また、再保険会社は、自らが事業展開しようとする各州への同意の確認書を提出するよう義務付けられていた。
とりわけ特定の管轄区域を相互の管轄区域とみなすための要件を決定する際に、改定されたモデルの実施における個々の州の保険コミッショナーの裁量を許可するかどうかとその範囲が焦点となっていた。モデル法とモデル規則の実施において個々の州の保険コミッショナーの裁量権を与えることは、州に基づく保険規則制度が所与のものとした場合には慣習的である。ただし、カバード・アグリーメントの履行及びより広範な市場における再保険活動の規制において、より厳格な整合性に対する強い要望が挙げられていた。
(2) 2018年11月9日のモデル法案に対する反応
2018年11月9日の改正案に対しては、NAICの推奨改訂のリストとして、以下の項目が挙げられた
9。
・
相互管轄権の承認:EUの管轄権を相互管轄権として認識すべきかどうかについての判断を下すために、州の保険コミッショナーの裁量に関して追加の改訂が必要かどうか。
・
二国間協定の遵守の決定:各EU加盟国が二国間協定を遵守しているかどうかを判断するために、州の保険コミッショナーの裁量に関して追加の改訂が必要かどうか。
・
追加要件を課すコミッショナーの裁量:EUの再保険会社に課されている追加要件に関して追加の修正が必要かどうか。
・
発効日:どの再保険協定と契約が対象となるかについてのモデル改正における発効日規定に関して追加の改訂が必要かどうか。
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プロセスのサービス:再保険会社が事業を行う予定の各州に、プロセスのサービスへの同意の確認を提出することを要求することに関して、追加の改訂が必要かどうか。
・
その他の問題:モデル草案を二国間協定により一致させるために追加の技術的改訂が必要かどうか。
NAICは、財務状況委員会と再保険タスクフォースに対して、上記の問題を解決し、5月上旬までに採択を最終決定することを目的として、4月のNAIC春季大会での完全な議論を見込んで、3月中旬までに再保険モデルの新しい草案を発表するように求めていた。
これを受けて、再度、モデル法及びモデル規制の改正案(修正案)が公表(2019 年3月7日)され、市中協議に付されていた(2019年4月1日締切)。