インド経済の見通し~財政金融政策により景気は年度後半から持ち直すも、輸出減速で緩慢な成長が続くと予想(2019年度+7.0%、2020年度+7.3%)

2019年06月05日

(斉藤 誠) アジア経済

■要旨
 
  • インド経済は1-3月期の成長率が+5.8%となり、5年ぶりの低水準を記録した。
     
  • 1-3月期は選挙関連支出など公的部門による景気の下支えはあったものの、総選挙前の先行きの不透明感やノンバンク金融会社の流動性収縮により民間消費と投資が冴えず、昨年から続く景気減速に歯止めはかからなかった。
     
  • 経済の先行きは政治リスクの後退や政府の財政出動、RBIの金融緩和により景気が持ち直し、7-9月期から成長率が上向くと予想する。
     
  • もっとも雇用環境が厳しさを増すなか、今後は輸出の減速傾向が強まるために持続的な景気拡大までは見込みにくく、19年度は+7%程度の勢いを欠いた成長を予想する。

■目次

・経済概況:内需が冴えず、成長率6%割れ
・経済見通し: 19年度は+7%程度の勢いを欠いた成長へ
・(為替の動向)年後半から再びルピー安へ
・(物価の動向)19年度後半からインフレ警戒感が強まる
・(金融政策の動向)6月で利下げ打ち止め、20年度半ばには再び引締め局面に入ると予想

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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