中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
2019年3月8日
失望させるEC提案は、ソルベンシーIIを改善する機会を逃している
ソルベンシーIIの委任規則を改正する欧州委員会の最終的な委任規則の採択に応答して、保険ヨーロッパの副局長であるOlav Jones氏は次のように述べている。
「保険ヨーロッパは、いくつかの非常に必要とされる改善と簡素化が達成されているが、これらは長期的な商品と投資を維持し発展させる業界の能力に影響を与える重要な問題に関する進歩の欠如によって打ち消されている。」
具体的には、業界は次のような懸念を抱いている。
・リスクマージン:業界がリスクマージンを安全に減らすことができるという広範な証拠を提供したという事実にもかかわらず、欧州委員会は行動を起こさなかった。EIOPAによると、リスクマージンは、全ての顧客の要求と高い水準のソルベンシー資本を満たすために業界が保有する必要がある資本の額に加えて、2,000億ユーロを追加する。残念ながら、これは特に長期商品に影響を与える。
・ボラティリティ調整:長期契約のために人為的なボラティリティを減らすように設計されているこの調整が意図したように機能しないという証拠がある。このレビューの下で、国固有の要素に関する最初のステップが議論された。残念ながら、欧州委員会の本文には何も含まれていない。
さらに、業界は、繰延税金の損失吸収能力に対する不必要な制限について懸念を抱いている。
株式への長期投資の較正に関して、保険ヨーロッパは、保険会社が投資に対して長期的なアプローチをとることができる場合には、資本費用が現在高すぎるという欧州委員会の認識を歓迎する。欧州委員会の提案が実際にどのようにワークするのかは、今後の課題である。
Jones氏は、次のように述べている。
「次のレビューは、2020年末までに完成する予定だが、遅すぎる - ソルベンシーIIの改善が可能な分野を特定し、優先順位を付けるという点で、もっと意欲的である必要がある。それは保険業界が顧客に提供できるものに直接影響を与えるだけでなく、欧州の成長と投資に対する欧州委員会の長期目標を支援する能力にも影響を及ぼすだろう。」
5―まとめ