(5)内部モデルの文書化
良質の文書化は、関係者全員にとっての利益であり、特に、PRAと会社の双方にとって不必要な作業を引き起こす誤解のリスクを軽減する。
効果的な内容の看板を付ける明確なエグゼクティブサマリーで、読者は主なポイントを理解し、証拠を十分に見つけることができる。カバーされているトピックが内部モデルの他の要素とどのように関連しているかを明確に示している場合、レビューはより効果的である。
会社が、社内モデルの文書化が明確かつ簡潔に示されるようにすることを推奨する。
・提案された方法論の簡潔な要約
・較正の詳細
・データの使用を含む方法論及び較正の形成においてなされた主要な判断
・重要な判断に対する代替案の検討
・資本への影響を含む較正の結果
・重要な判断の感応度分析を含む方法論、較正及び結果の検証
・提案の限界と弱点
・リスクの再較正が要求される基準と状況
文書化がモデルの変更に関係する場合、PRAの見解は、会社が変更の論理的根拠を明らかにするのがよいプラクティスであるということである。
この機会を利用して、「PRAソルベンシーII保険ディレクターズ・アップデート:2015年2月12日」
26に記載されているように、以下の内容を含む、モデリング作業における主要な判断の良質な文書化の重要性を会社に喚起させる、としている。
・重要な判断が特定されることを確実にする仕組みがある。
・重要な判断に対する意思決定と承認が適切なレベルで行われるようにするプロセスがある。
・重要な判断に対する課題は、文書内に適切に取り込まれる。
・文書化のレベルと判断の妥当性は、決定の重要性に比例する。
・専門家の判断の定義は、重要な個別のパラメータを特定するだけでなく、次のものを組み込むことができるという点で、適切に幅広い。
・会社がどのように特定の問題を定量化するかに関する基本的な方法論決定
・広範囲の他の決定/判断に影響するプロセスの設計又は暗黙の前提
最後に、会社が文書を読者がより使いやすくするために役立つこととして、次のことを提案している。
・グラフやその他の図的証拠の使用は有用であるかもしれないが、それらが使用される場所では、なぜ関連性があるのか、どのような推論が引き出されているのか、そしてなぜそれが適切であるのかについて説明する必要がある。
・提示された結果は、それらの結果から引き出されるべき結論とともに明確に説明されるべきである。
・会社は、文書に記載されている様々な情報源を明確に説明したりコメントしたり、内部モデルでその情報をどのように使用するかを明確にすべきである。
以上を踏まえて、PRAは、チーフ・アクチュアリーが上記のことを念頭において会社の文書化と提出物を審査することを推奨する、としている。