(3)基本イールドカーブの調整-
3バケットアプローチ-
2018年フィールドテストとICS Version 2.0では、IAISは、監督と業界の両方に対処するバランスの取れたソリューションを提供するために、近年テストされた様々な方法の特徴を組み合わせることを目的とした3バケットアプローチの開発にその作業を集中させたと述べている。
3バケットアプローチは3つのバケットで構成されており、保険負債を3つの異なるカテゴリに分け、それぞれの機能に応じて異なる調整方法が適用される。
・トップバケットは、グループの資産構造と特定のスプレッドに依存するため、最もエンティティ固有である。 IAIGが実際にその自己資産を満期まで保有し、それゆえ保険負債の割引に用いられているスプレッドを獲得できることをある程度保証する、最も限定的な基準を満たす負債にのみ適用すべきである。基準は、2018年フィールドテスト技術仕様書で定義されている。
・ミドルバケットは、トップバケットと一般バケットのバランスをとることを目指している。それは依然として適用可能な一連の基準を満たす負債を必要とするが、この基準は多くの面でトップバケットと比較してより緩和されている。ミドルバケットは、IAIG自身の資産構造に基づいて加重された市場スプレッドを使用して、市場及びグループ固有のインプットをミックスする。
・一般バケットは、他のバケットに設定されている基準を満たさない保険負債に使用できるキャッチオール(あらゆるものを含む)バケットである。したがって、(関連する通貨に対して)IAIG市場全体について決定されたスプレッド及びポートフォリオ構造の両方を使用して、市場全体で計算される。
1) トップバケット(Top Bucket)
トップバケットの調整は、IAIGの自己資産保有とそれぞれのスプレッドに基づいて、所定の適格基準を満たすポートフォリオについて計算される。この調整は、保険負債の償却までの基本イールドカーブへの平行シフトとして適用される。これは、これがLOTを超えている場合でも同様である。
トップバケットは適格資産の概念を適用する。つまり、指定されたカテゴリ(主に固定利回り資産)の資産のみがスプレッド調整の計算に役立つ。ICSカテゴリ4以下の格付け資産には、ICSカテゴリ4資産のスプレッドが割り当てられる。
トップバケットでは100%の適用比率が使用される。
2) ミドルバケット(Middle Bucket)
ミドルバケット調整は、IAIGの自己資産保有額(複数代表ポートフォリオの加重平均(WAMP)方法論)によって加重された市場スプレッドに基づいて、所定の適格基準を満たすポートフォリオについて計算される。これらの資産がヘッジされ、ヘッジコストが控除されている場合には、外貨建の通貨から得たスプレッドを考慮することができる。
ミドルバケットは適格資産の概念を適用する。つまり、指定されたカテゴリ(主に固定利回り資産)の資産のみがスプレッド調整の計算に寄与する。ICSカテゴリ4以下の格付け資産には、ICSカテゴリ4資産のスプレッドが割り当てられる。
適格基準の厳格な性質を反映し、スプレッド計算におけるベーシスリスクが高いことを反映するため、ミドルバケットは90%の適用比率を使用する。
3) 一般バケット(General Bucket)
一般バケットは、市場全体のスプレッドと代表的なポートフォリオに基づいて計算されるため、特定のIAIGによって適用された場合に高いベーシスリスクが組み込まれる。
一般バケットは、トップ及びミドルバケットの基準のいずれも満たさない全ての保険負債に適用され、80%の適用比率の対象となる。
構築方法論に起因する潜在的なベーシスリスクを軽減するため、2つのベーシスリスク緩和メカニズムを組み入れている。これは、(1)負債とは異なる通貨建ての資産の保有と、(2)構成する管轄区域の各々で観測されるスプレッドレベルと比較した時に、通貨組合せについて計算された平均調整額の間の大きな差異、の重要な影響を、調整において反映することを目的としている。
一般バケットは適格資産の概念を適用する。つまり、指定されたカテゴリ(主に固定利回り資産)の資産のみがスプレッド調整の計算に寄与する。ICSカテゴリ4以下の格付け資産には、ICSカテゴリ4資産のスプレッドが割り当てられる。
さらに、IAISは、LTFRのレベルでのスプレッド調整の較正を検討している。
以前は2018年フィールドテストでも10 bpsのプレースホルダー較正が使用されていた。 プレースホルダー較正の妥当性については、様々な見解がある。
2017年、ボランティアグループの一部は、このプレースホルダーを放棄し、代わりにLTFRの調整を過去のデータに基づいて較正することをIAISに提案した。
下記で述べる方法論に基づき、以下のスプレッド調整が、(基準点における)LTFRに適用される通貨のサンプルについて決定された。