「地方財源不足額」は本当に解消されているのか?―先送りされ続ける臨時財政対策債の償還財源確保

2018年07月13日

(石川 達哉)

■要旨

地方財政計画策定途上で生ずる「地方財源不足額」は、これを解消するための財源対策が総務省と財務省の協議によって事前に講じられているため、実際には顕在化していない。しかし、補填財源の過半は臨時財政対策債の発行によって賄われており、その元利償還費さえも新たに発行される臨時財政対策債で全額賄うことが2002年度以降継続して行われている。その結果、恒久的な償還財源が確保されていない臨時財政対策債の元本は、2016年度末時点で総額55.8兆円に達していると推定される。交付税特会借入残高も31.6兆円残っており、これらの債務の償還財源確保に向けた議論を直ちに行うことが必要である。

■目次

1――はじめに
2――地方財政計画上の「地方財源不足額」とその解消策
  1|「地方財源不足額」とは?
  2|「地方財政対策」における「折半対象財源不足額」とその解消策
  3|「地方財政対策」における「折半対象前財源不足額」とその解消策
3――高まる臨時財政対策債への依存
  1|臨時財政対策債発行可能額と実際の起債額
  2|全地方債の発行額と残高に占める臨時財政対策債の割合
  3|将来の償還財源確保が先送りされている臨時財政対策債
4――おわりに
付論――臨時財政対策債の理論償還費の推定方法
  1|臨時財政対策債の元利金償還費
  2|臨時財政対策債の元金償還費
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