中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
1979.この段階でのEIOPAの取り組みの焦点は、CoC率を固定金額として改訂する助言を提供することであった。EIOPAは、リスクマージンの他の側面の見直しは、欧州委員会が実施の5年後に行うことが義務付けられているソルベンシーIIの見直しの一環として行われるべきであると助言する。
1980.EIOPAは、CEIOPSが2009年のリスクマージンに関する技術的助言に適用したアプローチと同じアプローチに従って、CoCレートを見直した。
・資本コスト(Cost of Capital)は持分コスト(cost of equity)に等しい。
・持分コストは、以下を含む資本資産価格モデル(CAPM)で計算される。
・株式リスクプレミアム:投資家が株式クラスに投資するためのリスクフリーレートを上回る追加リターンを表す。
・ベータ・ファクター。これは、より幅広い市場と比較しての保険業界の株価実績を反映する。
・結果は、CoCのCAPM推定に反映されない経済的側面を考慮して調整される。
1981.株式リスクプレミアムの見積りに関して、過去のリターンモデルと配当割引モデルが分析さ れた。両方のモデルの長所と短所を考慮して、EIOPAは、過去のリターンモデルを使用して株式リスクプレミアムを導出することを提案する。特に、これらのモデルは、CoCレートの初期較正、時間に対するCoCレートのより強い安定性及び前提への少ない依存性で、方法論的整合性を確保している。
1982.6%から8%の範囲のCoC計算結果を考慮すると、EIOPAは、現在適用可能な6%のCoCレートを変更しないことを勧告する。
PLAM(プリンシパルロス吸収メカニズム)の運営
2050.EIOPAは、部分償却は、3ヵ月のSCR違反の強制トリガーが達成された場合に許容されるべきであるが、75%SCR違反とMCR違反のトリガーが引き起こされない限りにおいてであることを勧告する。
2051.EIOPAはさらに、少なくとも、rT1は、75%のSCR違反で商品が全額償却されるような方法で定額法で償却されることを勧告する。MCRに違反した場合は、RT1の全額がすぐに償却されなければならない。
2052.会社は、SCRの遵守が回復するまで、SCRカバレッジを3か月毎に再計算し、その後3ヶ月毎にSCRのカバー率がさらに悪化した場合には、さらに償却しなければならない。
2053.このアプローチは、トリガー時に変換するrT1商品に対して、必要に応じて変更を加えて、適用されなければならない。
PLAMトリガーに関する自己資本の潜在的損失
2054.EIOPAは、銀行制度と整合せず、代わりに発行時のrT1商品の元本を引き続き完全に認識できるようにすることを勧告する。さらに、EIOPAは、監督当局が、以下の場合に、特定のケース別に、償却又は変換するという要件から例外的な免除を行うかどうかを検討する能力を提供することを勧告する。
a)会社は、そのような免除を要求し、合理的な前提に基づき、償却又は変換の税効果が会社のソルベンシーポジションを著しく弱める可能性が高いことを示すことになる、納税年度末に向けての予測を提供する。
b)会社の監査役は、当該予測に使用された前提が合理的であることを文書で確認する。そして
c)75%SCR強制的トリガーもMCRも破られていない。
早期償還、税務上のコール、規制上のコール
2055.EIOPAは、ソルベンシーIIをCRR、特に税務及び規制上のコールに、より密接に対応させるための変更を勧告する。そうすることで、EIOPAは、これがCRR IIの2016年11月のドラフトに沿ったものであると強調する。
2089.EIOPAは、政策当事者及び受益者の適切な保護を提供するために必要なTier1自己資本の健全性を保護するために、20%の限度を維持するように、欧州委員会に勧告する。EIOPAは、ハイブリッド商品がTier 1の全部又は最も重要な部分を占めることができるいかなる制度も支持できないという見解である。もし20%が削除された場合、EIOPAは、資本の質における結果として起こる損失を完全に軽減するハイブリッド商品の特徴に何らの変更もないと考えている。