「勘違い」と「わからない」の違い-金融と生命保険に関するリテラシーの多様性を考慮した分析

2018年03月28日

(中嶋 邦夫) 公的年金

■要旨

金融リテラシーの向上が、社会的な課題となっている。本稿では、(公財)生命保険文化センターが実施した「生活保障に関する調査」のリテラシー計測設問の結果を、正答か非正答かではなく正答・誤答・不明とに区分して分析し、人々のリテラシーのパターンを分類した。その結果、人々のリテラシーは誤答(勘違い)か不明(わからない)かで分類され、分類によって生活設計や経済的準備の状況が違うことが分かった。

■目次

1 ――― 問題意識
  1| 社会的な課題
  2| 研究上の課題(先行研究の概観と本稿の位置づけ)
2 ――― データの概観と分析方法の概要
  1| サンプル設計
  2| リテラシーを計測する設問
  3| 各設問への回答状況
  4| 設問間の相関関係
  5| 回答パターンによるグループ分け(分類)
3 ――― 分析結果
  1| 分類結果の特徴
  2| 分類と正答数との関係
  3| 分類と主観的なリテラシーとの関係
  4| 分類と客観的な属性との関係
  5| 分類と経済的な準備状況との関係
4 ――― 総括と考察
  1| 分析結果の総括
  2| 今後の研究課題
補論:他のクラス数での分類結果
 
 
* この研究は、平成29年度厚生労働科学研究費補助金(政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業))「公私年金の連携に注目した私的年金の普及と持続可能性に関する国際比較とエビデンスに基づく産学官の横断的研究」(H29-政策-一般-002)の一環である。

保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫(なかしま くにお)

研究領域:年金

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

経歴

【職歴】
 1995年 日本生命保険相互会社入社
 2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
 2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)

【社外委員等】
 ・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
 ・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
 ・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
 ・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
 ・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)

【加入団体等】
 ・生活経済学会、日本財政学会、ほか
 ・博士(経済学)

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