エネルギー版エンゲル係数が上昇~原油高に圧迫される地方の家計

2017年12月28日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■要旨

家計のエネルギー負担がじわりと増大している。12月25日時点のレギュラーガソリン店頭価格は約2年5ヵ月ぶりの高値まで上昇している。

この背景には何より原油価格の上昇がある。また、昨年終盤以降、為替が円安方向へシフトしたことが原油の円建て輸入価格押し上げに働いた。
 
エネルギー代(電気代、ガス代、灯油代、ガソリン代の合計)の消費支出に占める割合を「エネルギー版エンゲル係数」として計算すると、直近2017年11月の値は11月としては3年ぶりの高水準となった。
 
今後もエネルギー負担の高止まりが続きそうだ。国際原油価格が大きく下落することは想定しづらいうえ、円安ドル高方向に進むことも原油の円建て輸入価格押し上げに繋がる可能性が高い。

さらに電気代やガス代に原油価格が遅れて反映される点もエネルギー負担の高止まりを示唆している。今年秋以降の原油価格上昇分はまだ電気代・ガス代に反映されておらず、来年に価格押し上げ効果が出てくる。
 
エネルギー負担は増大しており、今後も軽減が見込みづらい状況にあるが、負担の度合いは地域によって大きく異なる。北海道、東北、北陸は、原油高や円安による負の影響を受けやすい。

■目次

1――家計のエネルギー代負担が増大
  1|ガソリン価格は2年5ヵ月ぶりの高値に
  2|エネルギー版エンゲル係数は上昇
2――エネルギー代負担は特に地方の家計を圧迫

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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