中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
2―今回の第1の助言セットの概要
2017年10月30日
EIOPAは資本要件の計算に簡略化を推奨
・欧州委員会に対するEIOPAの最初の助言は、ソルベンシー資本要件(SCR)標準式に焦点を当てている。
・EIOPAは資本要件の計算の簡素化と改善を助言する。
・EIOPAの目標は、保険業界に、比例的で、技術的に堅牢で、リスクに敏感で、一貫した監督体制を確保することである。
フランクフルト、2017年10月30日 – 本日、欧州保険年金監督局(EIOPA)は、ソルベンシーII委任規則の特定の項目のレビューについて、欧州委員会に第1の助言セットを提出した。この助言は、ソルベンシー資本要件(SCR)標準式の資本要件の簡素化された計算を提案している。この変更により、解約率や死亡率などのリスクの計算が簡素化されることが予測される。SCRの計算における外部信用格付けに対する保険会社の過度の依存を減らすために、EIOPAは、信用格付機関を1つだけ指名し、信用度ステップ3(すなわちBBB格付け)の対象となる残りの非複合資産の資本要件を計算することにより、簡素化された計算を適用することを推奨している。
EIOPAは、地域政府や地方自治体が発行した非上場の保証のための新しい資産クラスを作成し、保険と銀行の枠組みを整理し、計算のリスク感応度を向上させることを助言している。 さらに、助言は、保険者のために投資する関連会社にルックスルー・アプローチを適用する必要性を認識している。 また、リスクプロファイルのより良い反映を可能にするために、ストップロス再保険のための会社固有のパラメータの使用の提案も含んでいる。リスク軽減技術に関して、EIOPAは、エクスポージャーが頻繁に変化する金融リスクをヘッジするための戦略をよりよく認識することを推奨している。
後に、EIOPAは監督及び業界慣行を含む欧州経済圏における繰延税金の損失吸収能力(LAC DT)の分析を実施した。分析の結果は、国家監督当局は、1,000億ユーロのLAC DTの75%に対して同様の監督慣行を使用していることを示している。 LAC DTの残り25%の監督慣行の収束について、EIOPAは2018年2月に、さらなる要素を提供する予定である。
EIOPAのGabriel Bernardino会長は、「この第1の助言セットは、保険セクターに対する、比例的で、技術的に堅牢で、リスクに敏感な一貫した監督体制を維持するとともに、その複雑さを軽減するための標準式の重要な側面をカバーしている。この助言は、証拠に基づいており、ソルベンシーIIの枠組みの見直しにおける最初の重要なステップである。
この第1の助言セットは、欧州委員会から受け取った最初の要請についてのフォローアップである。 第2の助言セットは、リスクマージンの算定における資本コスト、損害保険及び生命保険の引受リスク、カタストロフィーリスク、未評価債務及び非上場株式の計算などの項目の分析に焦点を当てる。EIOPAは、2018年2月までに、それを欧州委員会に提出する予定である。
助言はEIOPAのウェブサイトから入手できる。