YCC導入後の20年国債金利-金融政策の出口に関する情報はどこに織り込まれるか

2017年10月19日

(福本 勇樹) 金利・債券

■要旨
 
  • 2016年9月のYCCとオーバーシュート型コミットメント導入後の20年国債金利の動向について考える。
     
  • YCC導入後は、10年国債金利がゼロ%周辺を推移する状況にあることから、20年国債金利の動向を考える上で重要となるのは、20年国債金利と10年国債金利のスプレッドということになる。
     
  • 当該スプレッドは、2016年9月末から2017年9月末までで0.071%拡大したが、主に日本銀行による国債の買入動向(0.087%)と期待インフレ率上昇に伴う物価の安定目標の導入による押し下げ効果の弱まり(0.065%)が寄与している。
     
  • 当該スプレッドと期待インフレ率の連動性の高まりは、YCC導入後に生じた変化である。
     
  • 日本銀行が金融緩和政策の出口へ舵を切る際は、まずは物価の安定目標の達成がポイントになることが予想され、この場合、当該スプレッドにこの影響が最初に現れることになる。

金融研究部   金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任

福本 勇樹(ふくもと ゆうき)

研究領域:

研究・専門分野
金融・決済・価格評価

経歴

【職歴】
 2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
 2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
 2021年7月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会検定会員
 ・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
 ・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)

【著書】
 成城大学経済研究所 研究報告No.88
 『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
  著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
  出版社:成城大学経済研究所
  発行年月:2020年02月

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)