2|今回の改定の特徴
今回の改定の特徴として、以下4点があげられる。
(1) 地域医療構想の策定に基づく病床機能の再編
医療介護総合確保推進法で示された改革では、「地域完結型」の医療体制を整備するために、都道府県による地域医療構想策定と、それに基づいて病床機能の再編を行う点がこれまでと異なる。都道府県は、各医療機関が新たに報告を義務づけられた「病床機能報告」に基づいて、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能ごとに、2025年の医療需要と必要病床数、および在宅医療等の医療需要を推計し、推計結果にあわせて、設備の準備や医療従事者の確保などの提供体制を、原則として二次医療圏単位で整える。
2017年3月までに、すべての都道府県で地域医療構想の策定を終え、現在は、2018年4月の第7次医療計画の策定が進められている。
(2) 介護サービスの重点化・地域支援事業の充実
特別養護老人ホームの「新規」入所条件が、原則として要介護3以上と、重点化されている。
介護保険制度の支給対象に認定されていない高齢者等を対象としては、社会参加・介護予防に向けた取組、配食・見守り等の生活支援体制の整備、在宅生活を支える医療と介護の連携及び認知症の方への支援の仕組み等を一体的に推進しながら、地域で支えていく体制を構築するための市町村において「地域支援事業」が充実する。これまで介護保険制度で提供されていた要支援者に対する予防給付も地域支援事業に移行され、地域の実情や各高齢者のニーズにあわせたサービスを受けることができるようになる。
(3) 都道府県の権限強化
高齢化のスピードは地域によって異なることから、必要となる医療・介護の量や時期は地域別に検討する必要があり、都道府県に期待される役割は、これまでと比べて大きい。都道府県が、市町村や医療関係者と協議の上、地域の実情にあわせて病床機能を再編し、医療計画・介護事業支援計画を策定することで、各計画の実効性が高まり、医療提供体制の効率化が進むことが期待されている
4。
また、在宅医療の推進や医療・介護分野における地域ネットワーク構築などの医療提供体制を整備するための財政支援制度(基金)が都道府県に新たに創設されたほか、国民健康保険の財源を都道府県に移行することによっても都道府県の権限が強化される。
(4) 高齢者を含めた負担の見直し
今回の改定では、高齢者・施設利用者自身の負担の見直しも行われている。医療費の負担において、現役世代に続いて高齢者においても所得水準・限度額が見直され、所得によっては自己負担が増加したほか、後期高齢者の所得割部分の保険料軽減特例も段階的になくなる。また、介護費の負担においても、現役世代に総報酬割を導入する等の改定が行われたが、高齢者においても一定以上所得者の負担が引き上げられた。今後はマイナンバー制度の浸透にあわせて、所得だけでなく資産も考慮に入れ、負担の公平化をはかる。
4 諸外国と比べて日本には民間医療機関が多く、調整を行うのが難しい環境と言われている。今回の病床機能の再編にあたり、協議だけでは進まない場合、計画を着実に実施するために都道府県には病床の新設・増床・機能転換・削減においていくつかの権限が与えられている。
3――おわりに