ロンドン2012大会のマーク(図表1)との比較では、東京2020公認文化オリンピアードのマークは「文化オリンピアード・マーク」に、東京2020応援文化オリンピアードのマークは「インスパイア・マーク」に相当し、ロンドン大会と同様ガイドラインも発表されている。現時点では「ロンドン2012フェスティバル・エンブレム」に相当するマークは用意されていないが、東京2020フェスティバルの内容とともに今後検討されるものと思われる。
ロンドン2012大会との最大の違いは、beyond2020プログラムである。東京2020文化オリンピアードが「オリンピック憲章」に基づいた公式文化プログラムであるのに対し、beyond2020は日本文化の魅力を発信するとともに、2020年以降を見据えたレガシー創出のためのプログラムとされており、ロンドン2012大会にはなかった枠組である。公式スポンサー以外の企業が関わる事業についても対象になる一方で、オリンピック・パラリンピックの文言を使用することはできない。これは本レポートに記載したアンブッシュマーケティング(P.111参照)と見なされるためである。
また、東京2020大会の開催都市である東京都は、「東京文化プログラム」としてアーツカウンシル東京がいくつかの助成事業などを進めており、要件に合致するものを組織委員会の東京2020文化オリンピアードとして実施する予定である。
いずれにせよ東京2020大会まで3年余りを残すばかりとなった。関係者の尽力によって東京2020文化オリンピアードが大きな成果を収めることを期待したい。
■目次
1――東京2020大会で期待の高まる「文化オリンピアード」と
ロンドン2012大会の3種類のマーク
1|100年以上の歴史の中で培われてきた文化オリンピアード
2|ロンドン2012文化オリンピアードを支えた3種類のマーク類
2――インスパイア・プログラム:
多様な団体が文化オリンピアードの主催者として参加できるしくみ
1|インスパイア・プログラムの要件と認証の手順
2|インスパイア・マークのガイドライン
3|インスパイア・プログラムの資金調達や後援について
4|インスパイア・プログラムの具体例――コミュニティ・ゲームズ
3――ロンドン2012フェスティバルのブランド・ガイドライン:
インスパイア・マークの成果を発展
1|文化施設や芸術機関の元々の民間スポンサーが支援する事業も
フェスティバルの一環に
2|ブランド・ガイドラインの概要
3|プログラムなどの印刷物
4|会場におけるフェスティバルのブランド展開
4――東京2020文化オリンピアードに向けて
1|リオ2016大会の文化プログラムとマーク
2|東京2020大会文化オリンピアードの検討状況とマークやブランド
3|東京2020文化オリンピアードならではのイノベーションを
※本稿は2016年7月11日発表の基礎研レポート「ロンドン2012文化オリンピアードを支えた3つのロゴマーク」に加筆したものである。