中村 亮一()
研究領域:保険
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2―IFRS第17号の概要
2017年5月18日
IASB、保険会計の根本的な見直しを完了
国際会計基準審議会(審議会)は、本日、IFRS第17号「保険契約」を発行した。保険契約のためのこの最初の真に国際的なIFRS基準は、投資家およびその他の者が保険会社のリスクエクスポージャー、収益性および財政状態をよりよく理解するのに役立つ。
IFRS第17号は、2004年に暫定基準として導入されたIFRS第4号に取って代わるものである。IFRS第4号は、会社に、国家会計基準を用いた保険契約会計を実行する制度を与えてきた。結果として、投資家が他の類似会社の財務実績を比較して対比することが困難になっている。
金融安定理事会は、2015年9月に、審議会がIFRS第4号を新しい基準に置き換えるプロジェクトを完成させることの重要性を指摘した。
IFRS第17号は、全ての保険契約を一貫した方法で会計処理することを要求することで、IFRS第4号によって生み出されている比較問題を解決し、投資家と保険会社の両方に利益をもたらす。保険義務は、過去の費用ではなく、現在の価値を使用して会計処理される。情報は定期的に更新され、財務諸表の利用者により役立つ情報を提供する。
IASB会長のHans Hoogervorst氏は、以下のように述べた。
「保険業界は世界経済において重要な役割を果たしている。それゆえ、保険会社が財務的にどのように行動するかについての市場参加者への高品質な情報提供は、非常に重要である。IFRS第17号は、現在の無数の会計アプローチを、投資家およびその他の者に比較可能かつ最新の情報を提供する単一のアプローチに置き換える。」
今日使用されている会計方法の範囲により、新しい基準の導入により、一部の国々では、他の国々よりも大きな変化が見られるであろう。
IFRS第17号は、2021年1月1日の発効日を有するが、会社は早期に適用することができる。
審議会は、現在メンバーを求めている移行リソースグループの設立を含め、基準を実施する人々を支援する。
IFRS第17号は、実例と審議会の結論の根拠についての説明と併せて発表される。
基準に付属するその他の資料:
•効果分析 - 新基準の予想コストとメリットを詳細に説明する。
•プロジェクト要約 - 新しい保険契約基準を発展させるプロジェクトの概要を提供する。そして
•フィードバック声明 - プロジェクトの一環として実施された様々な協議に対して受け取ったフィードバックを要約している。
これらの資料は全て、IFRS財団のウェブサイトの「IFRS 17プロジェクトページ」からアクセスできる。
審議会はまた、本日「IFRS第17号のIFRS Taxonomy Update」案をパブリック・コンサルテーションのために公表した。コメント締切りは2017年9月18日である。