歴代アメリカ大統領の就任演説では、重要な時代状況を反映し、名言が生まれたりすることも多い。第35代大統領ジョン・F・ケネディは、1961年の就任演説で『アメリカ国民の皆さん、国があなたに何をするかを問うのではなく、あなたが国に何ができるかを問うてください』(My fellow Americans: ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.)と語った。
また、冷戦の最中にある世界に向けて、『世界の皆さん、アメリカがあなた方に何をするかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを問うてください』(My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.)と述べた。つまり「客体」としての国民にとどまるのではなく、「主体」としての国民の行動を呼びかけたのだ。
アメリカ歴代大統領は、建国以来のフロンティア・スピリッツを掲げ、世界の平和と繁栄を目指してきた。しかし、グローバル化の進展は、超大国アメリカを世界に「福」を授ける「主体」から、世界から「福」を授かる「客体」に方向転換させようとしている。トランプ大統領が、『アメリカを再び偉大にする』(We Will Make America Great Again.)を実現する、真のアメリカの「福男」になることを期待したい。