EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(2)-EIOPAの報告書の概要報告-

2017年01月11日

(中村 亮一) 保険計理

3|VA(ボラティリティ調整)

(1)適用会社
VAについては、幅広く23カ国、852の会社が適用している。

国別では、フランスが217社と最も多く、次がルクセンブルグで111社、イタリア92社、スペイン86社、ドイツ83社となっている。他の措置と異なり、損害保険会社の適用会社数も多くなっている。
 
技術的準備金の市場シェアでは、EEA全体で60.8%の会社がVAを適用しているが、国別ではフランスが18.1%、ドイツが10.1%、英国が9.2%を占めている。
 
9カ国(オーストリア、ベルギー、スペイン、フィンランド、フランス、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ)では、国内市場の75%以上の技術的準備金に対してVAが適用されている。

さらに、生命保険に対する技術的準備金の殆どは、VAを適用した会社で保持されている。

VAを適用する会社の無かった国のうち5カ国は、その理由を、VAの適用無しでSCR要件を満たしているのであれば、VA適用によるメリットが付加的な報告負担を上回らないから、と説明している。

さらに、VAとTTPを併用している会社の技術的準備金の市場シェアは14.1%であるが、その国別内訳は以下の通りとなっている。なお、ここでも英国が6.5%でトップとなっている。
 
(2)SCR比率への影響
VAを適用しなかった場合のSCR比率については、次の図表の通りである。
 
EEAでは206%から172%に34%ポイント低下する。

国別では、デンマークでは283%から192%に91%ポイント低下し、ドイツでは286%から202%に85%ポイント低下し、ベルギーでは204%から144%に60%ポイント低下する。

(3)技術的準備金への影響
技術的準備金への影響は、EEA全体で0.8%となる。

ギリシャが3.5%で影響が最も大きい。
 
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