景気ウォッチャー調査(16年10月)~持ち直しの動きが明確だが、トランプ大統領誕生で先行きは不透明

2016年11月10日

(岡 圭佑)

3.景気の先行き判断DI(季節調整値):4ヵ月連続で改善

先行き判断DI(季節調整値)は51.4(前月差+1.5ポイント)と4ヵ月連続で改善した。先行き判断DIの内訳をみると、家計動向関連(前月差+1.4ポイント)、企業動向関連(同+1.4ポイント)、雇用関連(同+2.8ポイント)のいずれも前月から改善した。
 
家計動向関連では、「クリスマス、年末年始とお金の動き時期を控えているため、今後についてはやや良くなる」(北海道・商店街)などクリスマス商戦や年末商戦へ期待を寄せるコメントが目立った。一方、「今の経済環境では、ボーナス商戦に向けて消費マインドが改善される期待が持てない。お歳暮、クリスマス、年末、初商と商売規模が大きいだけに、影響の大きさが懸念される」(南関東・百貨店)とのコメントのように、ボーナスへの期待が盛り上がりに欠けている様子も見て取れる。

企業動向関連では、「年末年始の食品需要が増えるシーズンになるため、販売量が増加する」(近畿・化学工業)など、年末年始の需要期における受注の増加を指摘するコメントが散見された。
雇用関連では、「昨年より年末年始の短期の引き合い案件が増えている。派遣業務は、今年いる登録済スタッフに助けられている」(北陸・人材派遣会社)とのコメントのように、年末年始を控えて人材需要が高まっている様子が伺える。
前述のとおりマインド面の下押しが和らぐなか、年末年始の需要増への期待から景況感は緩やかな回復が続くことが見込まれている。もっとも、トランプ大統領誕生直後の金融市場の混乱は一旦収束しているが、再び先行き懸念が高まれば円高・株安が進行し、消費マインドに悪影響をもたらす可能性がある。また、円高の進行は企業収益の悪化をもたらすことから、企業活動への影響は避けられないだろう。海外の政治情勢や金融市場の動向には注意が必要だ。
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