中村 亮一()
研究領域:保険
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ソルベンシーIIの下での保険分野から最初の発見
2016年8月9日付けのプレスリリースの付属資料
新しい規制制度であるソルベンシーIIの下で、保険会社は、2016年5月に初めて、BaFinに報告を行った。新しい監督制度の初めにおける「Day 1 Reporting」は、一度だけ提出しなければならなかった。「Day 1 Reporting」の日付は、2016年1月1日だった。加えて、会社は、2016年3月31日時点でのソルベンシーII基準による初めての四半期報告書を提出した。概要は、2016年7月8日のプレスリリースに記載されている。
ソルベンシーIIの下での最初の報告からのデータは、一定の不確実性を有する新しい報告様式を考慮して結び付けられている。経験は、いくつかの別の補正のためのメッセージが十分なデータ品質を確保するために必要なことを示している。保険監督法45条(VAG§45)の規定により、いくつかの会社が中間報告を免除されていることから、2016年1月1日と2016年3月31日の参照日のデータの比較は限定されている。
43社:ボラティリティ調整と技術的準備金のための経過措置を併用
12社:ボラティリティ調整のみを使用
9社:技術的準備金のための経過措置のみを使用
1社:利率による経過措置を使用
生命保険
現在、84の生命保険会社がBaFinによって監督されている。ソルベンシー資本要件(SCR)を計算するために、77の生命保険会社は標準的な算式を使用し、7社は(部分)内部モデルを使用した。会社固有のパラメータを使用している会社はなかった。
84の生命保険会社のうち、現在、43社が保険監督法82条に基づくボラティリティ調整と保険監督法352条(デフォールト経過措置)に基づく技術的準備金のための経過措置を使用している。9つの会社が経過措置のみを使用し、12の会社がボラティリティ調整のみを使用している。1つの会社が、保険監督法351条(利率経過措置)に基づくリスクフリー金利のための経過措置を、ボラティリティ調整と合わせて適用している。
まとめると、55の生命保険会社がボラティリティ調整を、52の生命保険会社がデフォールト経過措置を、1つの生命保険会社が利率経過措置を適用している。
SCRとMCRのカバレッジ
2016年1月1日において、84の全ての生命保険会社が十分なSCRをカバーしていることを実証することができた。このうちの16の会社は経過措置の適用が必要だった。生命保険部門におけるSCR比率(部門のSCRに対する適格資本の割合)が283%に達した。保険会社の個々の比率は大きく異なっている。全ての会社のSCR比率の算術平均は364%だった。経過措置の適用がなければ、資本不足額は業界全体で約35億ユーロだった。MCR(Minimum Capital Requirement:最低資本要件)の平均カバレッジ率は678%だった。
2016年1月1日から2016年3月31日にかけて、資本市場、特に金利環境において、顕著な悪化が記録された。その結果、SCRカバレッジは2016年の第1四半期で大幅に悪化した。生命保険部門におけるSCRカバレッジ比率は209%となった。全ての会社のSCRカバレッジ比率の算術平均は286%だった。経過措置の適用がなければ、資本不足は、業界レベルで123億ユーロ程度に達していた。26の会社では、十分なSCRカバレッジを確保するために、経過措置を適用する必要があった。
1つの会社は、十分なSCRカバレッジを確保するために、資本基盤の短期的な強化を行った。2つの会社が、2016年3月31日にSCRに対する資本不足を報告したが、これは特別なケースといえる。両社はデフォールト経過措置も利率経過措置も適用せず、保険監督法348条に基づく経過措置を使用している。ソルベンシーIIの下でのSCR要件充足の監督は、2015年12月31日まで適用される法律の下で、SCRを満たしているとの条件下で、2017年12月31日までの期間の延長を認めることができる。BaFinは、遅くとも2017年12月31日までに、SCRの遵守を確保するために、会社と密接な連絡をとっていくことで一致している。
補足:経過措置を適用し、経過措置を適用しない場合に、SCRに対して資本不足になる会社は、保険監督法353条2項に従って、行動計画を提出する。ここで、会社は、SCRの遵守が経過措置無しで移行期間の終了により確保されるよう、十分な自己資本を形成したり、リスクプロファイルを軽減するために計画されている措置の段階的な導入を開示しなければならない。会社は、対策の進展に関する年次進捗報告書を監督官庁に報告しなければならない。