【7月米個人所得・消費支出】7-9月期最初の月は、所得、消費とも比較的好調なスタートとなったと判断

2016年08月30日

(窪谷 浩) 米国経済

3.所得動向:賃金・給与の底堅い伸びが持続

個人所得の内訳をみると、賃金・給与が前月比+0.5%(前月:+0.5%)と2ヵ月連続で高い伸びとなり、所得の増加に寄与した。一方、利息・配当収入は+0.3%(前月:▲0.2%)と前月からプラスに転じた(図表2)。

個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.4%(前月改定:+0.3%)と、+0.2%から上方修正された前月改定値を上回ったほか、価格変動の影響を除いた実質ベースは+0.4%(前月改定:+0.2%)と、こちらも+0.1%から上方修正された前月改定値から伸びが加速し、15年12月(+0.5%)以来の高い伸びとなった(図表3)。

4.消費動向:前月から伸び鈍化も、自動車関連が伸びを牽引

名目個人消費(前月比)は、財消費が前月比+0.2%(前月:+0.5%)、サービス消費が+0.4%(前月:+0.6%)と、財、サービス消費ともに前月から伸びが鈍化した(図表4)。

財消費の内訳をみると、耐久財が+1.6%(前月:+0.3%)と前月から大幅に伸びが加速する一方、非耐久財が▲0.5%(前月:+0.5%)と、前月からマイナスに転じた。耐久財の加速は自動車・自動車部品が+4.5%(前月:▲0.9%)と前月のマイナスから大幅なプラスに転じたことが大きい。一方、非耐久財はガソリン価格の下落もあってガソリン・エネルギー関連が▲3.7%(前月:+1.8%)と前月から大幅なマイナスとなったほか、衣料・靴▲0.1%(前月:+0.5%)もマイナスに転じた。さらに、食料・飲料は▲0.3%(前月:▲0.1%)と2ヵ月連続でマイナスとなった。

サービス消費は、住宅・公共料金が+0.6%(前月比:+0.7%)、医療サービスが+0.2%(前月:+0.3%)となるなど、全般的に伸びが鈍化した。

5.価格指数:エネルギー、食料品価格が物価を押下げ

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が▲1.8%(前月:+1.5%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表6)。一方、食料品価格指数は▲0.1%(前月:▲0.2%)と、こちらは3ヵ月連続でマイナスとなった。

前年同月比では、エネルギー価格指数が▲11.7%(前月:▲10.0%)と、3ヵ月連続で2桁のマイナスとなった(図表7)。一方、食料品価格指数は、▲1.2%(前月:▲0.9%)と、15年12月以降、概ね物価を押下げる状況が持続している。このようにエネルギー、食料品価格下落が物価を押下げる状況が持続している。

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩(くぼたに ひろし)

研究領域:経済

研究・専門分野
米国経済

経歴

【職歴】
 1991年 日本生命保険相互会社入社
 1999年 NLI International Inc.(米国)
 2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
 2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
 2014年10月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)

関連カテゴリ・レポート