昨今の住宅取得事情(その1)‐最近住まいを取得した人の傾向

2016年03月10日

(塩澤 誠一郎) 土地・住宅

関連カテゴリ

■要旨

2009年以降に持ち家に住み替えた世帯は、住み替えた世帯全体の約32%。主流は30~40歳代で、多くが子育てを目的に持ち家を取得している。

■目次

1――最近住み替えた世帯
  1|最近住み替えた世帯の約3割が持ち家を取得
  2|持ち家取得の主流層は30~40歳代
2――持ち家への住み替え目的
  ・初めて持ち家を取得する層の住み替え目的は子育て
3――持ち家への住み替え費用
  ・30~40歳代の持ち家の取得費は2,000~4,000万円台
 
 
 
今号から6回にわたり、昨今の住宅取得事情について、一般的な統計を用いて様々な角度から分析した結果を紹介する。初回は最近持ち家を取得した世帯の基本的な傾向を把握する。
 

1――最近住み替えた世帯

1――最近住み替えた世帯

1|最近住み替えた世帯の約3割が持ち家を取得
平成25年住生活総合調査(確報)によると、2009年以降5年間に住み替えた世帯は、世帯全体の19%である。(図表1)
住み替え方法別にみると、「新築注文住宅を建築」が11.3%、「中古住宅を購入」が8.6%、「新築分譲住宅を購入」が8.2%、「親や子などの住宅を相続・贈与」1が4%となっている。これらを合計すると持ち家を取得して住み替えた世帯は、最近住み替えた世帯全体の32.1%となる。(図表2)
 
2|持ち家取得の主流層は3040歳代
最近持ち家に住み替えた世帯について、家計を主に支える者の年齢別に見ると、「35~39歳」の割合が33.2%で最も高く、次いで「40~49歳」が26.7%で高くなっている。
これら30~40歳代が全体の約60%を占めており、持ち家取得の主流層と言える。(図表3)
 
 
1 親族の世帯と一緒になった場合も含む
 

2――持ち家への住み替え目的

2――持ち家への住み替え目的

初めて持ち家を取得する層の住み替え目的は子育て
次に、最近持ち家に住み替えた世帯の住み替え目的を見ると、「借家から持ち家」に住み替えた世帯は、「子育て・教育の環境を整える」が24.6%で最も割合が高く、次いで、「住宅を広くする、部屋を増やす」が16.8%で高くなっている。
「借家から持ち家」に住み替えた世帯は、多くが初めて持ち家を取得する層で、その多くが子育てを目的に持ち家を取得していることが分かる。
 

3――持ち家への住み替え費用

3――持ち家への住み替え費用

30~40歳代の持ち家の取得費は2,000~4,000万円台
30~40歳代の住み替えに要した費用を見ると、2,000万円台から4,000万円台の割合が高くなっている。平均は30~39歳が約2,873万円、40~49歳が3,046万円2である。比較的若い世帯は、子育てにおいて住まいの果たす役割を重視し、数千万円を投じて積極的に持ち家を取得していると言える。
 
 
2 取得費0円を除く平均値

社会研究部   都市政策調査室長・ジェロントロジー推進室兼任

塩澤 誠一郎(しおざわ せいいちろう)

研究領域:不動産

研究・専門分野
都市・地域計画、土地・住宅政策、文化施設開発

経歴

【職歴】
 1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
 2004年 ニッセイ基礎研究所
 2020年より現職
 ・技術士(建設部門、都市及び地方計画)

【加入団体等】
 ・我孫子市都市計画審議会委員
 ・日本建築学会
 ・日本都市計画学会

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)

関連カテゴリ・レポート