7月16日ECB政策理事会:ギリシャ向けELAの上限引き上げ、銀行営業の一部再開に目処

2015年07月17日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

欧州中央銀行(ECB)が16日、政策理事会を開催、政策金利の据え置きと月600億ユーロの国債等の資産買入れ継続を決めた。

前回6月3日の理事会以降、ギリシャ情勢は急展開したが、域内他国の国債利回りやユーロ相場への影響は限定的だった。声明文では、従来と同じ「景気回復の裾野が広がりつつあり、インフレ率は今後数年間で徐々に高まる」との判断が示された。

記者会見では15日のギリシャ議会での改革関連法案の成立を受けて、緊急流動性支援(ELA)の上限を向こう1週間で9億ユーロ引き上げたことも明らかにされた。ギリシャの銀行の営業の一部再開への道が開かれた。

ドラギ総裁がギリシャには「債務軽減(debt relief)が必要」と述べたことは、ユーロ圏首脳が合意した第3次支援プログラムの想定よりも踏み込んだ措置がなければ、ギリシャの危機は繰り返されるとの懸念を示したと思われる。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)