松岡 博司()
研究領域:
研究・専門分野
■要旨
米国の個人年金市場では2012年以降、変額年金が微減傾向に、定額年金が増加傾向にある。両者を合わせた個人年金全体の販売額は増加基調にあるものの、いまだに2008年のピークを上回れない状況が続いている。
生存給付保証特約のリスク管理の不備が問題化した金融危機以降、米国生保会社は生存給付保証特約付きの変額保険販売に抑制的になった。このため、2012年~2014年には、株式市況回復にもかかわらず変額年金の販売額が減少した。
一方、定額年金においては、その一類型に分類される指数連動型年金が成長を牽引している。指数連動型年金の販売好調を後押ししているのは、変額年金におけるものと類似の生存給付保証特約である。
近時の指数連動型年金の好調には、変額年金の主たる提供者である大手生保会社が変額年金の提供を抑制している状況下、これに代わって外資等の新興勢力が生存給付保証特約付きの指数連動型年金を提供して、好調な株式市況の成果を享受したいという消費者ニーズを積極的に吸収しているという側面もある。