家計調査15年2月~個人消費は底這い圏を脱せず

2015年03月27日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・実質消費水準指数は3ヵ月連続で低下
・実質所得の改善から15年度入り後には回復へ

■要旨

総務省が3月27日に公表した家計調査によると、15年2月の実質消費支出は前年比▲2.9%となった。減少幅は1月の同▲5.1%から縮小し、前月比では0.8%と2ヵ月ぶりに増加した。月々の振れが大きい住居、自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)は前年比では▲3.3%(1月:同▲4.7%)と減少幅が縮小したが、前月比では▲1.4%(1月:同▲0.3%)と2ヵ月連続で減少した。
実質消費水準指数(除く住居等、季節調整値)は前月比▲0.2%(1月:同▲0.7%)と3ヵ月連続で低下した。同指数は駆け込み需要の反動を主因として14年4、5月に水準を大きく下げた後、夏場にかけて持ち直していたが、その後は横這い圏の動きが続いており、15年1、2月の指数水準の平均は14年10-12月期を▲1.0%下回っている。現時点では15年1-3月期のGDP統計の個人消費は3四半期連続の増加を予想しているが、今回の結果は不安の残る内容である。

個人消費は14年度を通して低迷が続いたが、原油価格下落を主因とした消費者物価上昇率の低下によって、消費低迷の主因となってきた実質所得の押し下げ圧力は和らいでいる。消費者物価指数のうち、家計が実際に購入している財・サービスを対象とした「持家の帰属家賃を除く総合」は消費税率引き上げ後の14年5、6月には前年比4.4%の高い伸びとなったが、その後は鈍化傾向が続き15年2月には同2.6%となった。
14年度入り後の名目賃金の伸びは均してみれば前年比1%程度となっており、依然として物価上昇率を大きく下回っているが、消費税率引き上げの影響(2.4%)を除くと実質賃金上昇率はすでにプラスとなっている。先行きについては、消費者物価上昇率がさらに低下することに加え、15年春闘では14年を上回る賃上げが見込まれるため、実質賃金の増加ペースは徐々に高まる可能性が高い。
実質所得の改善を主因として15年度入り後には回復に向かうことが予想される。ただし、消費税率引き上げによって個人消費の水準は大きく落ち込んでおり、駆け込み需要が本格化する前の水準に戻るのは16年までずれ込みそうだ。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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