経済研究部 主任研究員
窪谷 浩(くぼたに ひろし)
研究領域:経済
研究・専門分野
米国経済
関連カテゴリ
【要旨】
1.結果の概要:雇用者数は力強い伸びが持続
2月6日、米国労働省(BLS)は1月の雇用統計を公表した。1月の非農業部門雇用者数は前月対比で+25.7万人の増加1(前月改定値:+32.9万人)となり、大幅に上方修正された前月からは伸びが鈍化したものの、市場予想の+22.8万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を上回った。
失業率は5.7%(前月:5.6%、市場予想:5.6%)とこちらは、市場の横ばい予想に反して0.1%上昇した。一方、労働参加率2は62.9%(前月:62.7%)と前月から0.2%上昇した(詳細はPDFを参照)。
2.結果の評価:雇用者数の伸びに、賃金の伸びが伴う、文句のない良い結果
1月の雇用者の伸びは、前月から鈍化したものの、過去2ヵ月の数値が大幅に上方修正された(詳細は後述)ことも考慮すれば、15年に入っても労働市場では力強い回復が持続していると判断できる。実際、過去3ヵ月の月間平均雇用増は33.6万人と30万人を大きく超えており、11月以降の雇用増が顕著となっていることが分かる。
失業率は5.7%と前月から0.1%上昇したものの、今月は労働力人口の増加に伴い労働参加率が前月の低下分をそのまま取り戻す形で増加していることを考慮すれば、それほど気にする必要はないだろう。寧ろ前月の失業率の低下が、労働市場の実態に比べてやや過大評価されていた可能性もある。
一方、今月の雇用統計で最も評価できるポイントは、賃金の伸びが加速したことだ。1月の時間当たり賃金は、24.75ドルと前月比+0.5%増加し、市場予想(同+0.3%)も上回った。前月は、雇用者数の堅調な増加にも係わらず、賃金が同▲0.2%減少するなど、労働市場の「質」改善に懸念を抱かせる内容だったが、今月は前月の減少を補って余りある上昇となったことから、持続的な賃金上昇への期待が再び高まる内容と考えられる。
このように、1月の雇用統計は、雇用増だけでなく賃金上昇も確認できたことから、非常に良い内容であり、米国の労働市場は15年に入ってロケットスタートを切ったと言えるだろう。
経済研究部 主任研究員
研究領域:経済
研究・専門分野
米国経済
【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員