スイス無制限介入策が突如終了~フラン急騰、中銀の信認に傷

2015年01月16日

(上野 剛志) 金融市場・外国為替(通貨・相場)

■要旨

1月15日、スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(以下、「SNB」)はスイスフラン(以下「フラン」)の対ユーロ為替レートについて設定してきた1ユーロ=1.2フランという上限を撤廃した。SNBは2011年5月以降の急激なフラン高ユーロ安がスイス経済への深刻な脅威となり、デフレリスクが高まったことへの対応として、同年9月に上限を設定、フラン売りユーロ買いの「無制限介入」を通じてこのラインを死守する政策を3年余り継続していたが、突然の政策変更となった。

この発表を受けて市場では大量のフラン買いユーロ売りが発生し、フランは一時1ユーロ=0.86フランまで約4割も高騰した。

筆者はSNBが無制限介入策を開始して以降、その特異な政策に注目してきたが 、このタイミングでの終了は予想外であった。SNBが無制限介入策終了に至った経緯とその影響、そして残された教訓についてまとめた。

1―上限撤廃に至った経緯

2―無制限介入策終了の影響

3―無制限介入策の残した教訓

経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志(うえの つよし)

研究領域:金融・為替

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴

・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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