生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中(きむ みょんじゅん)
研究領域:社会保障制度
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
2012年8 月10日、消費税率の引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が参議院本会議で可決・成立され、現行5%の消費税は、2014年4月に8%、2015年10月には10%へと引き上げられることになった。消費税率の10%引き上げにより、税収は12.5兆円の増加(消費税率1%を2.5兆円に計算した場合)が予想される。しかしながら、現在の日本の財政状況を考慮すると、さらなる税収の確保が必要とされてくるであろう。
筆者はある女子大学で経済学概論の講義を担当しているが、先日の講義の際に、日本の財政状況を概説した上で、「新しい税収を確保するために今後日本政府がどのような税金を導入すべきか」について学生の意見を聞いてみた。
私の講義の受講生は、ほとんどが1、2年生で、今まで経済学と関連した講義を受講した経験があまりない。意見を収集した結果、マスコミでよく取り上げていた環境税やタバコ税、ファストフード税、お菓子税を新しい財源として活用すべきだという意見が多かったが、若い女子大生ならではの面白い意見も多くあったので、実現性の有無は別にし、ここで紹介したいと思う。女子大生が考えてくれたユニークな税目は次の通りである。
以上のような税金を財政の専門家らに見せたらどういう反応をするだろうか。多分、(1)税金と罰金をはき違えている、(2)実現可能性がない、(3)基準を設定する等、税金を徴収するまでの手続きが簡単ではない、(4)実現しても税収が大きく増えないという答えが多いだろう。しかしながら筆者はその導入の可能性や税収の大きさよりも、女子大生ならではのアイディアに注目したい。成績税や遅刻税、そしてヘアカラー税などは若い学生の考えが如実に現れた税目であるだろう。また、女子大生の多くは、現在日本が直面している社会問題をよく把握しており、それを解決する方法として、いじめ税や離婚税、そしてニート税等の導入が必要だという意見を提案している。
彼女達が提案してくれた上記のような税金は、金額としてはそれほど大きくないが、現在の日本に起きている様々な社会問題を解決するための一策になるかも知れない。
日本政府が、より多様な意見に耳を傾け、社会問題の解決とともに財政の安定を実現できることを望むところである。
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
研究領域:社会保障制度
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)