生活研究部 上席研究員
久我 尚子(くが なおこ)
研究領域:暮らし
研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング
関連カテゴリ
■見出し
1――未婚化・晩婚化の進行
2――若年層の未婚理由
3――経済的側面からみた若年層の婚姻状況
4――若年層の交際状況
5――若年層の結婚に対する価値観の変化
6――まとめ
■introduction
未婚化・晩婚化の進行が言われて久しい。1980年代では20代の後半ともなると、男性の半数弱、女性の7割程度が結婚していたが、現在では大半が未婚である(図表1)。生涯未婚率も上昇し、男性の5人に1人、女性の10人に1人は生涯未婚1という世の中になっている。
未婚化の一方、晩婚化も進行している。平均初婚年齢は上昇し続けており、男性は30.7歳、女性は29.0歳となった(図表2)。それに伴い、第1子平均出生年齢も上昇し、ついに女性で30歳を超えた。少子化もますます進行し、2011年の合計特殊出生率は1.39、出生数は過去最低の105万人を記録した(図表3)。合計特殊出生率は2006年あたりから上昇しているが、これは人口規模の大きな団塊ジュニア世代が30代後半となり駆け込み出産が増えた影響2などがあり、今後は低下することが予想されている3。
未婚化・晩婚化、少子化の進行はとどまる気配が見えない。しかし、若年層に結婚の意思を尋ねると、男性の86.3%、女性の89.4%が「いずれ結婚するつもり」と答える(図表4)。この割合は、近年、漸減傾向にあるものの、依然として高水準を保っている。さらに、結婚の意思を持つ者に結婚希望時期を尋ねると、男性の56.9%、女性の58.4%が「ある程度の年齢までには結婚するつもり」と答える(図表5)。この割合は2000年頃までは減少していたが、その後上昇に転じ、結婚の意志を持つ者の結婚に対する先延ばし意識は薄らいでいる。
未婚化・晩婚化は進行しているが、実は大半の若年層は結婚を望んでおり、先延ばし意識も薄らいでいる。このギャップには何があるのだろうか。本稿では国立社会保障人口問題研究所「出生動向基本調査」をはじめとした公的調査をもとに、若年層の結婚にまつわる状況やその背景について詳しく捉えていく。
生活研究部 上席研究員
研究領域:暮らし
研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング
プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society