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駅直結、商業複合化が顕著な東京の最新Aクラスビル
2012年11月15日
(増宮 守)
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多数の大規模ビル竣工による供給増を受け、2012年上期の東京オフィス市場の空室率は高水準で推移し、都心3区大規模ビル賃料は過去最低水準となった。しかし、震災以降強まった企業の防災・省エネニーズから、ハイスペックのAクラスビルへのオフィス移転が増加しており、割安感の強まったAクラスビルの賃料は底打ちが近いと思われる。
最新のAクラスビルでは、鉄道駅に直結し、オフィスと商業施設の複合ビルという特徴が目立つ。たとえば、オフィスフロアが東京で最高水準の賃料で決まったという「渋谷ヒカリエ」は、渋谷駅に直結し、低層部の商業施設も話題を集めている。また、今後竣工予定の大型ビルの多くも、駅直結で商業やホテル、住宅などとの複合ビルとなっている。
このように、鉄道駅直結の商業複合ビル計画が増加している背景として、鉄道網が発達した東京には、高い集客力や利便性を持つ駅が多いことが挙げられる。駅直結ビルは、交通利便性に加え、商業店舗が集積することで就業時間外の消費・レジャー活動にも便利な点でテナントの評価が高い。また、猛暑やゲリラ豪雨などの気候変動の激化傾向から、外部環境に左右されないアクセスを確保し、飲食や買い物もできる大型複合ビルの評価は、今後さらに高まる可能性がある。
これまで東京では、いわゆる「近・新・大」の条件を満たすビルが比較優位とされ、このような条件を満たす大型ビル開発が増加してきた。この結果、ストックに占めるAクラスビルの割合が高まっており、今後、Aクラスビル間での競争激化が見込まれる。このため、大型ビルの立地条件において、駅やエリアの評価はもちろん、当該物件の駅からのアクセスや商業集積度などがこれまで以上に重要になると考えられる。東京のAクラスビルは、アジア主要都市の超高層ビルに比べ規模や高さでは劣るが、先進的な防災・省エネへの取り組みや、公共交通網の充実、駅直結や商業集積による利便性で優れている。東京都が取り組むアジアヘッドクォーター特区構想などにおいては、グローバル企業に対しこのような優位性をアピールすべきではないだろうか。
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増宮 守
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