1月ECB政策理事会:政策効果見極めのため、全員一致で現状維持を決定

2012年01月13日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

■見出し

・すでに決定済みの政策効果を見極めるため、全員一致で現状維持を決定
・3年物資金供給は「銀行の資金繰り改善に寄与」
・可能性が高い政策金利据え置き、国債買い入れ継続、必要に応じた銀行の資金繰り支援拡充
・ギリシャ政府の元本削減交渉、為替相場の動向は静観の構え

■introduction

債務危機拡大への不安がくすぶる中で12日に開催された1月の欧州中央銀行(ECB)政策理事会は全員一致で現状維持を決めた。声明文では、12月の初の3年物オペは銀行の資金繰り改善に寄与したと評価、急激な景気悪化に歯止めが掛かりつつある兆候にも言及した。
ECBのユーロ危機克服策として、市場では引き続き追加利下げや国債買い入れ拡大への期待が高いが、筆者は、先月までに決定済みの政策効果を見極めるため、政策金利は1%で据え置き、国債買い入れは従来のスタンスのままで継続、銀行の資金繰り支援は必要に応じて拡充・延長するという組み合わせとなる可能性が最も高いと考えている。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)