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報告されたコストとパフォーマンスの概要
データ不足であるということなので、報告書で述べられた結果を、今そのまま受け取って考察するのはまだ控えるべきだろう。それでも今回、以下のような分析がなされているので、今後、こうした実情が分析されることに、期待することはできそうである。
その意味で、コスト、パフォーマンスにつきいくつか紹介すると、以下のようなものがある。
・保険型投資商品についての結果
KIDにおいては、保険商品を7つのリスクの大小に応じて7つのカテゴリーに分類して示すことが求められている。(1:非常に低い から7:最大のリスクまで)
リスクカテゴリー別のコストでは、リスクが高いほうがコスト高になっている傾向にある。有配当商品はカテゴリー1か2であり、比較的コストは低い水準である。
・ネットリターンの分布
2016年実績データを収集できた344の商品について、ネットリターンをみると、-12%から50%以上にまで分布しているが、1%~4%の商品が151と約4割を占める。
・ここ数年の動き
2013年から2017年の実績利回りをみると、ユニットリンク商品では2.62%(2017)~6.70%(2014)といったバラツキが見られるが、有配当商品は会社がリスクをとって平準化していることから、2.31%(2016)~3.21%(2015)と、リターンは少し低い水準だが、バラツキは小さい。
・リスクカテゴリーとパフォーマンスの関係(ユニットリンク、有配当)
2017年の一時払商品の場合において、リスクカテゴリー別のリターンをみると、当然のことではあるが、例えばリスクカテゴリー1(リスクがほぼない)ではリターンがほぼ0%であるが、リスクカテゴリー7だと、-10%~15%とばらついている。
その他にインフレや税金コストの影響についても分析されている。
・個人年金についての結果
個人年金については、得られたデータがさらに特定の国に限られ、使える量も少ないので、現時点では、保険型投資商品の補足程度にしかならないが、ほぼ同じ傾向の結果にはなっている。
また、全般的にいえることとして、商品種類、保険料、リスクカテゴリー、管轄区域(法域)によって、保険コストが異なる。これは当然のこととも取れるが、様々なリスクカテゴリーに関連する資産管理コストの変動が異なる要因であるとされている。
パフォーマンスについては、商品の違い、例えば最低保証、年金原資額の変動調整、有配当商品の最終精算配当、リスクやボラティリティの影響などから、比較が困難であると結論し、かつ今後の大きな課題と認識されている。
3――おわりに