前章までに、医療広告規制の見直しの背景や考え方などを概観してきた。この章では、QAをもとに、見直しの具体内容について、簡単にみていこう。
(1) バナー広告 (QAのQ1-7)
バナー広告に医療機関の名称が記載されているなど特定性がある場合は、広告に該当するため、医療法やGLで認められた広告可能事項に限り広告可能。なお、従前はバナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトはバナー広告と一体的に取り扱うこととされていた。今回の改正で、リンク先の医療機関のウェブサイトは患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトに相当するとされた。
(2) QRコード(広告のチラシ等の印刷)を読み込むことで表示されるウェブサイト (QAのQ1-8)
インターネット上のウェブサイト等と同様に取り扱い、広告規制の対象となる。
(3) 医療機関の情報提供機能を備えたスマートフォンのアプリから得られる情報 (QAのQ1-9)
患者等が自らダウンロードする特定の医療機関のアプリであれば、医療機関のウェブサイトと同じく、広告規制の対象となる。
(4) 広告規制の対象であるウェブサイトについて、特定の人のみが閲覧可能な場合 (QAのQ1-10)
医療機関の情報取得を希望した人のみが閲覧可能(一般人は閲覧不可)でも、広告規制の対象となる。
(5) 患者の希望により配布するメールマガジンやパンフレット (QAのQ1-11)
患者の希望であってもメールマガジンやパンフレットは広告として取り扱われるため、広告規制の対象となる。
(6) 医療機関のウェブサイト上の口コミ情報 (QAのQ2-9)
患者等の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談は、今回新たに規定された広告禁止事項。特に、当該医療機関にとって便益を与えるような感想等を取捨選択し掲載するなどして強調することは、虚偽・誇大に当たるため、広告できない。
(7) 医療機関の口コミ情報ランキングサイト (QAのQ2-10)
ランキングサイトを装って、医療機関の口コミ(体験談)等に基づき、医療機関にランキングを付すなど、特定の医療機関を強調している場合は、比較優良広告に該当する可能性があり、広告できない。
(8) SNSで医療機関の治療等の内容又は効果に関する感想を述べた場合 (QAのQ2-11)
個人が運営するウェブサイト、SNSの個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しない。
(9) 治療効果に関する内容のウェブサイト上での広告 (QAのQ2-17)
治療の効果に関する内容については、広告可能事項ではないため、広告できない。
なお、上記のうち、(1)~(5)および(9)の場合、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについては、図表7の要件を満たした場合、広告可能事項の拡大が可能とされている
11。
11 (9)については、求められれば裏付けとなる根拠を示し、客観的に実証できる必要があるとされている。
6――医療機関ネットパトロールの状況