人口動態から考える今後の新規住宅着工について~都道府県別にみた住宅着工床面積の長期予測

2018年08月30日

(吉田 資) 不動産市場・不動産市況

■要旨
 
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成 30 年推計)」によれば、2030 年以降、全都道府県で総人口の減少が始まり、本格的な人口減少局面を迎える。また、老年人口比率(65歳以上人口の占める割合)は、2015年の 26.6%から、2035年に 32.8%へ上昇し、約3人に1人が高齢者となる。住宅供給やまちづくりを中長期な視点で考えるにあたり、人口減少と高齢化の進展は無視できない問題である。
     
  • そこで、本稿では、人口動態と新設住宅着工床面積に関する計量分析に基づき、人口減少・高齢化が新規の住宅供給量に及ぼす影響を考察した。
     
  • 本稿の分析結果から、2035年の新設住宅着工床面積(全国)は、現在の7割程度の水準まで減少し、一部の都道府県では、半分以下の水準まで落ち込む可能性があることが示された。今後の経済環境等に影響される部分があるものの、人口減少・高齢化に伴い、新築住宅市場が大幅に縮小することは免れないものと考えられる。
     
  • 今後、新築住宅市場の縮小や政策の後押しを受けて、中古住宅流通事業や修繕・リフォーム事業に企業活動の軸をシフトする不動産・建設事業者が増えると思われる。

■目次

1――はじめに
2――住宅着工床面積の長期予測
  1|予測方法
  2|予測結果
3――おわりに

金融研究部   主任研究員

吉田 資(よしだ たすく)

研究領域:不動産

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴

【職歴】
 2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
 2018年 ニッセイ基礎研究所

【加入団体等】
 一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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