社外取締役の出口問題

2018年07月31日

(江木 聡)

■要旨

上場企業の取締役会には2名以上の社外取締役が定着しつつある。その結果、就任した社外取締役の再任と退任をどう考えるべきかといういわば出口問題が新たに関心を集めている。社外取締役の在任期間という観点では、一般に、短すぎると就任企業の知識や企業との信頼関係が十分得られない反面、長すぎると経営陣との馴れ合いから独立性が損なわれるという問題が生じる。
 
他方、慌てて選任した社外取締役の機能発揮が芳しくなくとも、再任しない扱いが現実には難しいという別の問題も存在するようだ。いずれにしても社外取締役の一般化に伴い、このような出口問題の検討は上場企業にとって不可避となるだろう。
 
本稿では、社外取締役の再任・退任をテーマとして、在任期間の上限設定などの枠組みや実務上の工夫について、海外の取組みも参考としながら今後の方向性を展望する。

■目次

1――就任は退任の始まり
2――日本における在任期間の現状
3――海外における在任期間の現状と枠組み
4――日本の枠組みと今後の対応
5――社外取締役の機能発揮状況と入口・出口問題
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