2-2.保険に固有のショック
(1)前提
YCdownシナリオでは、「長寿ショック」が規定されている。以下に、較正に関する技術的な詳細が記載されている。
保険に固有のショックの適用は、以下の一般的な副次条件に従う。
・以下のサブセクションで指定された長寿ストレスの適用が、参加グループのソルベンシーII自己資本にプラスの限界的影響を及ぼすことを示唆する場合(市場ショックの適用後の状況を条件として)、この正の限界影響は無効にされ、グループレベルでゼロに制限される。
・ストレス後のグループの報告書テンプレート内の別のラインは、通常のストレス後レポート項目の範囲外で、参加グループがソロレベルで適用されたキャップの総額(グループ全体で合計)を報告することを要求する。
(2)長寿のショック
長寿ショックは、参加グループによって、死亡率に関する最良推定前提に対する相対的変化として適用される。年齢に依存しない15%のストレスパラメータは全ての生命保険商品に適用される。
長寿ショックパラメータを較正するアプローチは、ソルベンシーII標準式の較正の改訂についてEIOPAによって最近提案された方法論と一致する。このアプローチの中核要素は次のように要約できる。
・全体(男女一緒)での経験死亡率データは、(HMDの国別データの利用可能性に応じて)1985 - 2013/2014/2015/2016の期間にわたる、いくつかの欧州諸国(フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、ポーランド、スペイン、英国、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、ギリシャ)の死亡データベース(HMD)から導き出される。
・モデル・リスクの影響をある程度組み込むために、一般的に使用される2つの確率論的死亡率モデル、即ちリー・カーター・モデル(Lee Carter model)とケアンズ・ブレイク・ダウド・モデル(Cairns-Blake-Dowd model)を分析に含めた。
・両方の確率論的死亡率モデルは、R-softwareの「StMoMo」-Stochastic Mortality Modelingパッケージを使用して、全ての国に対して40-90歳の間で推定された。Kannisto-ruleを使用して、全ての死亡表は120歳まで「円滑に」外挿された。その年齢の後、死亡率は120歳の死亡率に等しく設定された。
・各モデル及び国のパラメータ推定値に基づいて、5000のコホート死亡率テーブルがシミュレートされた。これらのシミュレートされた表を用いて、各年齢のシミュレートされた平均余命を計算した。
・実際の較正については、「年齢依存ショック後平均余命」の概念は、各将来死亡率に年齢依存ストレスファクターを掛け、次にこれらのストレスファクターを各年齢についてストレス後平均余命が確率論的シミュレーションからの適切なパーセンタイルと一致するような方法で定義された。
・各モデルに対する年齢依存ストレスファクターが、分析に含まれる全ての国で加重平均に組み合わされ、最終的に結果として得られた加重ファクターが両方のモデルで平均化された。
長寿ショックパラメータの詳細な概要は、技術情報に記載されている。
4―自然災害(Nat-Cat)シナリオ