中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
625.暴風と雹のシナリオだけが新たに導入されたため、地震と洪水の地域レベルの集約マトリックスは更新する必要がなかった。
再較正されたゾーンウェイト:
626.上に概説した再較正プロセスに続いて、以下のシナリオのゾーンリスクウェイトの再較正が提案される。
・風雨:フィンランド(新しいシナリオ)、ハンガリー(新しいシナリオ); スウェーデン; スロベニア(新しいシナリオ)
・地震:ギリシャ; スロバキア
・洪水:ハンガリー
・雹:チェコ共和国(新しいシナリオ); スロベニア(新しいシナリオ)
627.これらのシナリオに対する再較正されたゾーンリスクウェイト(CRESTA相対係数)及びそれぞれの集計マトリックスの一覧は、EIOPA Webページからダウンロードすることができる。
http://eiopa.europa.eu/Publications/Consultations/Annex%20to%20section%206%20-%20Natural%20Catastrophe%20Risk%20-%20Zonal%20Calibration.xlsx
[410.いくつかのシナリオのゾーン再較正は、現在、検証の対象となっている。]
6.5.契約上の限度と自然カタストロフィリスク
644. EIOPAは、自然カタストロフィリスクの資本要件の計算において、会社の実際のリスクエクスポジャーを捉えるべきであることを背景に、契約限度額、免責額及びその他の特定の契約条件を標準式内でどのように捉えているかを評価した。
645.自然カタストロフィリスクのリスクウェイトとリスクファクターは、国内市場の平均契約限度額と国内市場の平均免責額を考慮して較正されている。その意図は、危険毎のSCRが各国に対して適切なレベルで較正されるように、契約限度額なし、免責額なしで、会社の保険金額に直接的にリスクファクターを適用することである。
646.平均から大幅に逸脱した特定の契約条件を捉え、過度な方法で標準式の複雑さを増加させるのを回避するために、EIOPAは、各危険に対して以下のように機能する「事後調整」を導入することを提案する。
1)各ゾーンについて、以下の式を適用して、対応する総損失を計算する:
国のファクター×ゾーン相対性×免責額と契約限度の総保険金額
委任規則の表記法を使用して、地域𝑟と地域𝑖で
𝐺𝑟𝑜𝑠𝑠𝐿𝑜𝑠𝑠(𝑝𝑒𝑟𝑖𝑙,𝑟,𝑖)=𝑄(𝑝𝑒𝑟𝑖𝑙,𝑟)×𝑊(𝑝𝑒𝑟𝑖𝑙,𝑟,𝑖)×𝑆𝐼(𝑝𝑒𝑟𝑖𝑙,𝑟,𝑖)
2)会社特定の契約条件を用いて、ゾーン𝑖 における最大総エクスポジャーを定義する: 𝑀𝑎𝑥𝐺𝑟𝑜𝑠𝑠𝐸𝑥𝑝𝑜𝑠𝑢𝑟𝑒(𝑝𝑒𝑟𝑖𝑙,𝑟,𝑖)
3)ゾーン𝑖の最大損失として1)と2)の間の最小値を取る:
𝑀𝑎𝑥𝐿𝑜𝑠𝑠(𝑝𝑒𝑟𝑖𝑙,𝑟,𝑖) = min(𝐺𝑟𝑜𝑠𝑠𝐿𝑜𝑠𝑠(𝑝𝑒𝑟𝑖𝑙,𝑟,𝑖), 𝑀𝑎𝑥𝐺𝑟𝑜𝑠𝑠𝐸𝑥𝑝𝑜𝑠𝑢𝑟𝑒(𝑝𝑒𝑟𝑖𝑙,𝑟,𝑖))
4)集計行列を使用して、地域𝑟の損失を計算する:
647.この調整により、平均的な会社とは異なる契約条件で契約を販売する会社の特定のエクスポジャーを考慮に入れることができる。会社の引受け契約がカタストロフィ発生時に平均的な会社よりも保険金額をより大きく制限している場合、「事後調整」はこの特定会社のSCRが非現実的に大きくなることを回避する。
648.いくつかのケースでは、契約上の限度は、特定のゾーン内でより大きく異なる可能性がある。そのような特定のケースでは、そのような「事後調整」は、例えば、同種の契約のグループのように、ゾーンよりも細かいレベルで実行できる。
649.会社が提案された選択肢を利用する場合、特にさらに細分化する場合には、適切な量的情報を用いて、ORSAにおいてそれを開示すべきである。例えば、上記の1)及び2)の結果、地域レベル、リスクゾーン又は同種の契約レベルでの各契約に対するSCRの減少。
4―まとめ