WeWorkが提供するコワーキングスペースは、これまで企業が自社で所有または賃貸していたオフィスを、小分けにしてサービスとして提供する「Space as a Service」である。また同社のコミュニティは、従来は自社で雇用していた人材・スキルをクラウドにアウトソーシングする「Employee(Skill) as a Service(EaaS)」だと見ることもできる。さらに同社のWeWork Services Storeで提供するソフトやサービスは、「Infrastructure as a Service (IaaS)」や「Platform as a Service (PaaS)」、「Software as a Service (SaaS)」だ。このように考えると、同社はモジュール化された会社機能をアウトソースするための「X as a Service(XaaS、ザース)」プラットフォーマーだと見做すことができる。現時点ではまだ同社のXaaSプラットフォームマーとしての規模は限られるが、同社が提供するサービスから一つの将来像として想定されるのが、メンバーとメンバー、そしてベンダー企業を結びつけるXaaSプラットフォーマーである[図表1]。
これまでコワーキングスペースは不動産賃貸業の色彩が強かった。しかし、WeWorkは「Space as a Service」を提供しているとされるように、同社業務はITを活用した不動産サービス業と呼ぶべきものである。不動産業のサービス化により、今後は不動産の立地や建物などオフィスビルの実力だけでなく、施設の運営・管理能力など含めた総合力が問われることになっていくだろう。これは様々な不動産が、運営などの成果次第で収益が変動するオペレーショナル・アセットになっていくことを意味する。