中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
14.4.3.EIOPAの助言
CCPへのエクスポジャー
オプション1
1155.カウンターパーティデフォルトリスクの資本要件を決定する目的で、保険会社のデリバティブ取引が第305条(2)CRR(Capital Requirements Regulation)に定められた要件を満たす場合、デフォルト確率及び回収率は、そうでなければ等しいスタンドアローンリスク費用が信用度ステップ2のカウンターパーティとの二者間取引のスタンドアローンリスク費用の4%に等しくなるように設定されるべきである。
1156.第305条(3)の条件が満たされている場合、デフォルト確率及び回収率は、スタンドアローンのリスク費用は信用度ステップ2が割り当てられたカウンターパーティとの間のそうでなければ同一の二者間取引のスタンドアローンリスク費用の8%に等しくなるように設定されなければならない。
オプション2
1157.保険会社のデリバティブ取引が第305条(2)CRRに定められた要件を満たしている場合、AAA格のエクスポジャーのデフォルトの確率と50%の回収率が使用されるべきである。
1158.第305条(3)の条件が満たされる場合、AA格のエクスポジャーのデフォルトの確率と50%の回収率が使用されるべきである。
1159. CCP、清算会員又は清算会員の他のクライアントの1人又は複数の破綻時に、保険会社が倒産した清算会員に担保として資産を差し入れる場合に、両方のオプションにおいて、保険会社は、これらの資産をカウンターパーティデフォルトリスクモジュールの計算において、考慮しなくてもよい。
1160.EIOPAは、保険会社が清算会員になるか又はレポ取引のために同様の規定が必要かどうかを、両方のオプションのために、検討する。
LGDの計算のための考えられる影響
オプション1
1161.変更なし
オプション2
1162.第192条(3)のLGDの計算式は、以下のように変更される。
𝑚𝑎𝑥(90%(𝐷𝑒𝑟𝑖𝑣𝑎𝑡𝑖𝑣𝑒+𝑥𝑅𝑀𝑓𝑖𝑛)-𝐹 '(𝑦𝑉𝑎𝑙𝑢𝑒-𝑧𝐴𝑑𝑗𝑢𝑠𝑡𝑚𝑒𝑛𝑡𝑚𝑎𝑟𝑘𝑒𝑡𝑟𝑖𝑠𝑘); 0)
ここに、x、y、zは0と1の間にある(即ち、1つの可能な結果は、市場リスクの調整を計算する必要がないことである)。
15.4.3.EIOPAの助言
1217.以下の条件を満たすユニット/インデックスリンク商品を20%限度額から「カーブアウト」することが提案される。
・SCRに重大な影響を与えない(即ち、重大な保証や契約者オプションのない保険商品)。
・原資産の価値の変動が、(将来利益のために)利用可能な自己資本に重大な影響を及ぼさない。
1218.ルックスルーアプローチを適用できない場合、SCRは、原資産が報告された資産配分に従って厳密に管理されている(そして、される)ことを条件に、集団投資会社又はファンドの直近に報告された資産配分に基づいて計算されることが提案される。
1219.委任規則第84条(3)の範囲の下で、目標資産配分が全ての関連するサブモジュールと標準式のシナリオに対して必要な細分化のレベルで利用できない場合にも、「グルーピング」が(保守的なSCRを決定することを許可する)保守的な方法で適用されるという条件で、エクスポジャーの「グルーピング」の使用を認めることが提案される。
例えば、投資ファンドの基礎となるエクスポジャーのいくつかの外部格付けに関する詳細な情報を得ることが実際的でない場合、CQSが保守的であるという条件で、これらのエクスポジャーに対する平均CQSを割り当てることによって、委任規則第84条(3)の「グルーピング」アプローチを適用することを可能とすべきである。
1220.簡素化されたルックスルーの適用のための追加の定性的条件、すなわち「フル」ルックスルーが適用されない場合のSCRの計算に導入された誤差の(定性的又は定量的な)評価を課すことが提案される(委任規則第84条第3項の簡素化されたアプローチと委任規則第168条第3項の残された「株式リスクのタイプ2」の両方に適用される)。
16.3.3.EIOPAの助言
1251.EIOPAは、関連するCIUs、「CIUs及びファンドとしてパッケージ化された投資以外の市場リスクへの間接的エクスポジャーに対応する関連会社」及び関連する投資会社について、ルックスルーアプローチがグループレベルでどのように適用されているかを分析した。
1252.現行のアプローチは、CIUsの関連する特性の異なる評価のために、国家市場間のコンバージェンスを促進する委任規則の明確化を要求する、欧州レベルでの異なるアプローチを導いてきた。
1253.関連するCIUs、投資関連会社又は市場リスクへの間接的エクスポジャーを伴い、ファンドとしてパッケージ化され、国家市場間のさらなるコンバージェンスがある他の関連会社に対して、よりリスクに敏感な計算をしたい場合は、2つのオプションが特定されている。
a)委任規則の現在のヴァージョンを維持し、これらの会社を関連するとみなすべき時期について監督当局に対してより多くの指針を提供する。
b)欧州委員会に対し、委任規則第336条に変更を加えるように勧告し、これらの関連会社は、単独で扱われるのと同じ方法で、グループレベルで扱われる。これは、単独レベルでルックスルーがある場合、グループレベルでのルックスルーが必要であり、委任規制第84条(3)の簡素化のために単独レベルでのルックスルーがない場合、グループレベルでのルックスルーはない、ことを意味している。
1254.EIOPAは、この問題に対するステークホルダーのコメントとフィードバックを歓迎する。特に、委任規則第336条(d)に従って、会社のSCRが計算されている場合、グループSCR計算では何らの分散化利益も考慮されない。オプションb)が優先されるべきである場合、委任規則第336条(a)又は委任規則第336条(d)と同様の規定の下で、即ち分散化の利益なしで、そのような関連会社のSCRを計算する論理的根拠についての考え方を歓迎する。
1255.ステークホルダーのフィードバックを受けて分析した後、EIOPAは欧州委員会の委任規則への変更を助言するかもしれない。
3―まとめ