クオック氏の生い立ちを振り返ると、1923年10月、マレーシアのジョホール・バルで、中国・福建省福州市からの移民の子(次男)として生まれた。父のクオック・ケンカン氏(Kuok Keng Kang:郭欽鑑)は、商店の店員から勤勉・倹約に励み、コーヒー店の開業などを経て、兄弟(クオック氏の伯父)と共に、米、大豆、砂糖、小麦粉の取引を行うトンセン商店(Tong Seng Co.:東昇公司)の経営に参画した。クオック氏は父や伯父から、事業の基本として「正直、信頼、消費者の利益の重視」を学んだという。また父の口癖は「約束を守ることが事業の倫理」であったとのことである。さらに父は幅広い人脈を政財界などに築き事業を拡大した。
また母国である、マレーシアにおいては、上記に述べた事項に加えて、砂糖など必需品の供給(砂糖についてはマレーシア政府が輸入からの脱却を希望していた砂糖の精製事業の開始も含む)、人気ブランドのパンの販売、観光戦略を推進する同国の「Visit Malaysia Yearキャンペーン」への世界各地のシャングリ・ラ ホテルを通じた協力、今後の同国の発展の大きなベースたる国家事業たる「イスカンダル計画」への大規模投資など様々な貢献を行っている。