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北京の街角から(その1)-変貌する交通機関
2017年07月04日
(土堤内 昭雄)
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四半世紀ぶりに中国・北京を訪れた。正直、その変貌ぶりに驚いた。前回、私が降り立った北京空港は老朽化した薄暗い建物だった。2008年に供用開始された現在の北京首都国際空港第3ターミナルは、イギリス人建築家ノーマン・フォスター設計の洗練されたデザインだ。美しい印象の残る外観に明るく開放的な大空間は、世界中から大勢の人を迎え入れるのに相応しい空の玄関口と言えるだろう。
この巨大空港の年間旅客数は約9千万人と世界第2位を誇るが、処理能力が限界に近づいている。2019年には北京市の南方に、あらたにザハ・ハディド設計の世界最大規模となる北京大興国際空港が誕生するそうだ。新空港は7本の滑走路を有し、最終的には年間1億人以上の処理能力があるという。北京はふたつの巨大ハブ空港が併存する世界でも稀な都市になる。
当時の空港から都心に向う幹線道路は、古い自動車でひしめき合っていた。今日では空港まで北京地下鉄が乗り入れており、高速道路は大量の新しい自動車で混雑しているものの、中心部まで約30分のアクセスの良さだ。以前と比べると交通マナーは格段に良くなっているが、相変わらず歩行者より車の優先度が高い。交差点では常時右折可能なので、道路を横断する時は注意が必要だ。
20年以上前、地下鉄はわずか2路線と少なく、駅や車両は古びた感じだった。現在では19路線、延べ574キロの地下鉄が運行している。どの駅も広く清潔で明るく、券売機はすべてタッチパネル式で複雑な路線の料金も分かり易い。東京メトロなどと比べても外国人にとって利用し易いと思われる。ホームドアも完全に線路とホームを分離する形で設置されているので安全で安心だ。
道路はたくさんの自転車であふれている。昔と異なる点は、恐らく多くの自転車がシェアサイクルであることだろう。地下鉄駅やバス停周辺はもちろん、道路のいたるところに自転車が置かれている。スマホの専用アプリを使うと、自転車の施錠が解除され、利用料金も自動的に決済される。『どこからでも乗れ、どこでも乗り捨てられる』という利便性が受け、利用者は爆発的に増えているようだ。
2008年の北京オリンピックを契機に中国の都市基盤は急速に整備された。13億人以上の人口を抱え、日本の26倍の国土を有する国の経済成長のパワーは凄まじい。しかし、急激な発展の副作用もある。北京の大気汚染は深刻で、現在も市内で使用される車の車両番号による総量規制が実施されている。今回は大雨のあとで、北京の空は青くとてもきれいだった。今後、中国という巨艦が、少子高齢社会を迎える中でどのように経済成長と環境保全を両立させて行くのか、その針路が注目される。
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土堤内 昭雄
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