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景気ウォッチャー調査(17年3月)~停滞感強まり、人手不足、仕入れ価格の上昇は先行きの不安材料に~
2017年04月11日
(白波瀨 康雄)
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3.景気の先行き判断DI(季節調整値):2ヵ月ぶりに悪化
先行き判断DI(季節調整値)は48.1(前月差▲2.5ポイント)と2ヵ月ぶりに悪化し、節目の50を2ヵ月ぶりに下回った。先行きの景況感は2017年に入り一進一退の動きが続いている。先行き判断DIの内訳をみると、家計動向関連(前月差▲2.6ポイント)、企業動向関連(同▲1.7ポイント)、雇用関連(同▲4.0ポイント)のいずれも悪化した。
家計動向関連
では、「トイレットペーパー等の紙類、サラダ油等の値上げが予定されている。今後、更に節約志向が高まりそうである」(北陸・スーパー)など、新年度からの食料品や日用品の値上げにより一段と消費者が節約志向を強めると不安視するコメントが目立った。
企業動向関連
では、「原材料価格は上がるものの、販売価格に転嫁できず、行き詰っている」(南関東・精密機械器具製造業)などのように、販売価格への転嫁は難しいとするコメントが多く寄せられた。「需要減少のなか、中国経済減速、原油・資源価格動向、地政学上のリスク、米国や欧州の政治動向など、不透明感が強まっている」(四国・一般機械器具製造業)といったように、トランプ政権の動向を始め世界情勢について不安視する声が目立った。
雇用関連
では、「競合他社との求職者の取り合いはますます激しくなり、人材の採用コストが増大する」(東海・人材派遣会社)など、希望する人材を確保するコストが増していくことを懸念するコメントがみられた。
なお、2月末から始まったプレミアムフレイデーについては、2月は初回だったこともあり、現状判断・先行き判断の理由として言及したコメントが一定数みられた。一方、3月は年度末の実施となったこともあり、コメント自体が少なかった。
「プレミアムフライデーについては、まだ一般的に定着しておらず、継続して各種サービスを実施し集客策として育てている最中である」(南関東・百貨店)といったように、前向きなコメントもみられたが、「プレミアムフライデーの影響は皆無で、客からは何も聞こえてこない」(南関東・都市型ホテル)と効果がなかったとするコメントがほとんどだった。
景況感は、円安・株高による支えがなくなり、停滞感が強まっている。地政学リスクやトランプ新政権の政策運営など海外情勢の不透明感が高まっており、金融市場が不安定になれば、一段とマインドに悪影響をもたらす可能性がある。仕入れ価格の上昇や人手不足も企業経営の足枷となっており、不安要素が増えている。
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