ポイントプログラムの発祥は1850年ごろの米国であり、スタンプカード方式によるものであった。
わが国では1928年に江崎グリコが引換証20枚と景品との交換を開始し、1989年にヨドバシカメラがポイントカードを発行したことにより広く普及したとされている
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最近は、銀行や保険など金融業界の一部にもポイントが導入され、さらに業態を超えた各ポイント間の互換性など、ポイントプログラムの進化が進み、企業に加え地方自治体などでも活用されるなど、社会的なインフラとして定着している。
こうしたポイントプラグラムについての課題は2点ある。
1点目は、消費者に対するよりわかりやすいポイントプログラムの開示ルールの設定である。
ポイントを企業側のサービスと捉えるか、消費者の権利と捉えるかという議論の帰着や、立法などを待たず、実態的な消費者保護を考える必要がある。
ポイントの有効期限は各社区々であり、ポイントの消滅は消費者の不利益に直結する。
現在、ポイント残高や消滅期限など、一定期間ごとに丁寧に開示している企業もあるが、開示の方法などは各社さまざまである。
ポイント付与や、その蓄積の方法など、ポイントプログラムの内容そのものは各社の創意工夫により、消費者にとってより魅力的なものとして切磋琢磨する一方、各業界で消費者保護に向けた、ポイントプログラムの消費者への開示、説明方法などのモデル化なども検討する必要があるのではないか。
また、ポイントプログラムの廃止や内容変更は、消費者の期待に沿わないケースが多々あり、事前の丁寧な説明が求められよう。
現状では、ポイントプログラムに関する規定そのものも、一般消費者に開示していないケースがあり、インターネットなどを通じた開示が望ましいのではないか。
また、ポイントプログラムの中には、ポイントが商品・サービスの購入直後に少量でも使用できるものもあるが、一定量のポイントを貯めない場合、使用できなかったり、別の商品・サービスとの交換率が低くなったりするケースもある。
ポイントプログラムの実態に応じた消費者への丁寧な説明や開示などが求められよう。
こうしたルールの設定は必ずしも法律による必要はないが、各業界のガイドラインなどとして一定のルールを設定することを検討してはどうか。
2点目は、ポイントプログラムについての企業の会計処理の明確化である。
ポイントプログラムについての会計処理は、前述のとおり、企業によって区々であり、こうした状況については、「ポイントプログラムの複雑化、多様化の速さに対して、会計上の対応が追いついていないのが実情である」
23と指摘されている。
消費者が商品やサービスと交換できるポイントの財源を企業会計上、担保していくためにも、引当金として積み立てている金額の開示なども含め、会計処理の明確化、透明化が急務であろう。
ポイントに対する消費者の期待に応えていくために、適正なルールに基づいたポイントプログラムのさらなる発展を願って止まない。