【アジア新興経済レビュー】利下げや景気対策の動きが広がる

2015年10月01日

(斉藤 誠) アジア経済

  1. (実体経済)
    生産面の伸び率(前年同月比)の動きを見ると、好不調の差が拡大する結果となった。マレーシア・インドネシアは通貨安による輸出の持ち直しによる改善が見られる一方、タイはハードディスクドライブ(HDD)の大幅マイナスが続いていること、台湾は販売が低調な自動車生産が減少したことから、それぞれ3ヵ月・6ヵ月平均を下回った。
  2. (インフレ率)
    7月の消費者物価上昇率(前年同月比)は、国際商品市況の下落が続いたほか、景気減速によるインフレ期待の後退を受けて低めの伸びとなり、韓国・台湾・タイ・インドなどでは3ヵ月・6ヵ月平均を下回った。
  3. (金融政策)
    9月は、全7ヵ国・地域の中央銀行で金融政策会合が開かれた。政策金利は台湾・インドでは引下げが決まり、その他の会合では据え置かれた。
  4. (9月の注目ニュース)
      -マレーシア :緊急経済対策を発表(14日)
      -タイ    :短期的な景気対策を決定(1日、8日)
      -インドネシア:経済政策パッケージを公表(9日、29日)
  5. (10月の主要指標)
    10月は韓国(23日)・台湾(30日)で7-9月期のGDP統計が公表される。輸出主導経済の韓国と台湾では、7-9月期も輸出不振が続いていることから景気低迷は避けられないだろう。また韓国はMERS感染の終息宣言で消費の反動増が見られるか、台湾は輸出型製造業で人員削減が進むなか内需が景気を支えられるかに注目したい。

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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