岡 圭佑()
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■見出し
・国内企業物価は前年比▲3%台が続く
・輸入物価は下落基調が強まる
・最終財は緩やかな上昇基調が続く
・国内企業物価は緩やかながら下落幅を拡大
■要旨
9月10日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2015年8月の国内企業物価は前年比▲3.6%(7月:同▲3.1%)と事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲3.3%)を下回る結果となった。前月比では▲0.6%(7月:同▲0.3%)と3ヵ月連続でマイナスとなり下落幅が拡大した。夏季電力料金調整後では、前月比▲0.7%(7月:同▲0.5%)となった。国内企業物価注1の前月比寄与度をみると、為替・海外市況連動型(前月比▲0.4%)、電力・都市ガス・水道(同▲0.2%)、素材(その他)(同▲0.1%)が物価下落に寄与した。
8月の輸入物価(円ベース)は前年比▲9.6%(7月:同▲7.3%)と前月から下落幅が拡大した。前月比(円ベース)では▲1.9%(7月:同▲1.7%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。輸入物価注2の前月比寄与度をみてみると、石油・石炭・天然ガス(前月比▲1.3%)、金属・同製品(前月比▲0.4%)、機械器具(前月比▲0.1%)が物価下落に寄与した。8月の輸入物価は原油価格の下落による物価押し下げ圧力が高まったため、前月比では下落幅が拡大したとみられる。
8月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比▲25.2%(7月:同▲22.7%)、中間材が前年比▲4.2%(7月:同▲3.3%)、最終財が前年比1.0%(7月:同1.3%)となった。
今後、円安に伴うコスト増を価格転嫁する動きが続くものの、当面原油価格下落による物価押し下げが続くことから、国内企業物価は緩やかながら下落幅を拡大することが予想される。ただし、中国の景気減速や米利上げに伴う新興国の景気減速が鮮明となれば、実需低迷による国際商品市況の悪化を受け、企業物価は下落基調を一段と強めることに注意が必要だ。
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