【アジア新興経済レビュー】輸出不振のASEAN景気減速

2015年09月01日

(斉藤 誠) アジア経済

  1. (実体経済)
    生産面の伸び率(前年同月比)の動きを見ると、前月から大きな変動はなく低調な推移となった。インドネシア(6月)は同+5.8%と堅調に推移し、マレーシア(6月)は同+4.4%と、電気・電子機器や輸送用機器を中心に堅調を維持した。一方、タイ(7月)は同▲5.3%とハードディスクドライブ、電気機械などの輸出型産業が揃って低下し、フィリピン(6月)は同▲3.7%と木材・木工品や家具・備品、石油製品、基礎金属などが二桁減となり、それぞれマイナスを記録した。
  2. (インフレ率)
    7月の消費者物価上昇率(前年同月比)は、イスラム教の断食明け大祭の消費需要の増加を受けてマレーシア・インドネシアで上昇圧力が高まった。また原油先物価格が再び下落しており、その他の国・地域ではインフレ期待が後退し、低めの伸びとなった。
  3. (金融政策)
    8月は、韓国・タイ・インドネシア・フィリピン・インドの中央銀行で金融政策会合が開かれた。全ての会合で政策金利は据え置かれた。
  4. (8月の注目ニュース)
      -マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピン・インド:4-6月期GDPを公表
      -インドネシア:内閣改造(12日)
      -タイ            :バンコク爆弾テロ(17-18日)と内閣改造(20日)
  5. (9月の主要指標)
    9月は韓国(11日)・台湾(24日)・マレーシア(11日)・タイ(16 日)・インドネシア(17日)・フィリピン(24 日)・インド(29日)で金融政策会合が開かれる。インドは「双子の赤字」の改善を背景とする通貨の安定やインフレ圧力の後退を材料に利下げに踏み切ると予想する。

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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