貿易統計15年7月~輸出は伸び悩みが続く

2015年08月19日

(斎藤 太郎) 日本経済

■見出し

・貿易赤字(季節調整値)が拡大
・中国向け輸出数量の減少が続く


■要旨

財務省が8月19日に公表した貿易統計によると、15年7月の貿易収支は▲2,681億円と4ヵ月連続の赤字となり、市場予想(QUICK集計:▲530億円、当社予想は▲950億円)を下回る結果となった。季節調整済の貿易収支は▲3,688億円の赤字となり、6月の▲2,834億円から赤字幅が拡大した。輸出が前月比▲0.2%(6月:同4.4%)と2ヵ月ぶりに減少する一方、輸入が前月比1.1%(6月:同6.2%)と2ヵ月連続で増加した。

7月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲0.2%(6月:同▲3.0%)、EU向けが前年比5.5%(6月:同6.5%)、アジア向けが前年比▲0.4%(6月:同▲3.2%)となった。季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比3.1%(6月:同2.5%)、EU向けが前月比1.2%(6月:同2.5%)、アジア向けが前月比0.2%(6月:同2.6%)、全体では前月比0.0%(6月:同1.2%)となった。主要3地域向けがいずれも増加したにもかかわらず全体が横ばいにとどまったのは、中南米、ロシア、中東などのその他地域が低調だったためである。
主要3地域では米国向け、EU向けは比較的堅調だが、アジア向けは持ち直しのペースが鈍い。引き続き中国、アジア新興国経済減速が輸出の下押し要因になっている。
なお、7月の中国向け輸出数量は前年比▲1.3%(6月:同▲2.5%)と6ヵ月連続の減少となった。
4-6月期のGDP統計では輸出が前期比▲4.4%の大幅減少となり外需寄与度が前期比▲0.3%となった。現時点では7-9月期の輸出は前期比で増加に転じると予想しているが、4-6月期の落ち込みからすれば低い伸び(前期比0.9%を予想)にとどまり、輸入の伸び(前期比1.4%を予想)を下回ることから、外需寄与度は前期比▲0.1%と小幅ながら引き続き成長率の押し下げ要因になると予想している。

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)