地域アーツカウンシル――その現状と展望

2015年05月29日

(吉本 光宏)

■要旨

文化政策の分野でアーツカウンシルへの関心が高まっている。

5月22日に閣議決定された「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第4次)」では、「日本版アーツカウンシルの本格導入について必要な措置を講ずる」と記され、国のアーツカウンシルはさらなる拡充が図られようとしている。

地方公共団体においても、アーツコミッション・ヨコハマ(横浜市、2007年7月)、沖縄版アーツカウンシル(沖縄県、2012年8月)、アーツカウンシル東京(東京都、2012年11月)、大阪アーツカウンシル(大阪府・市、2013年7月)など、設置が続いている。

アーツカウンシルは1945年の英国が発祥とされ、「芸術文化に対する助成を基軸に、政府・行政組織と一定の距離を保ちながら、文化政策の執行を担う専門機関」のことである。

本稿では、地域アーツカウンシル(国ではなく地方公共団体等が設立、設置するアーツカウンシル的な機能を持った組織、事業体)について、日本の現状を整理し地方公共団体の文化予算などを手がかりにモデルを提示した。

さらに、英国と米国における地域アーツカウンシルと国の関係を調査し、日本の文化政策の変遷を振り返りながら、(1)中間支援機能の担い手、(2)新たな地域文化専門職の確立、(3)助成制度の運営に伴うシンクタンク機能の充実、(4)五輪文化プログラムの全国展開に向けた基盤づくり、(5)全国ネットワークへの展開という5つの視点で地域アーツカウンシルの意義や役割を整理し、将来を展望した。

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