アセアン経済共同体(AEC)と保険市場の自由化について-15年末発足予定のAECの保険市場への影響と意義

2015年02月24日

(平賀 富一)

■要旨


2015年末に発足が予定されるアセアン経済共同体(AEC)は、アセアン域内(10カ国)における貿易や投資を拡大させ、金融・資本市場の発達を促すことなどを目的としており、(1)単一市場・生産拠点(保険を含むサービス自由化を含む)、(2)競争力のある経済圏、(3)平等な経済発展、(4)世界経済への統合を4つの柱としている。その取組み状況は全体として達成率が80%を超えると発表されており、関税撤廃など大きな成果が見られる分野があるが、保険を含むサービスの自由化などについては実質的な進捗の遅れが指摘されている。

他方、アセアンの保険市場に目を転じると、経済発展に伴い市場は大きく成長しているが、未だ普及度の低い国が多く、今後さらに拡大する可能性が大きいといえよう。

現状、各国の産業の発展度・構造等の違いも大きいアセアンの保険市場においては、2015年のAECの発足はあくまで一つのマイルストーン(節目)にとどまり、その時点で市場環境が大きく変化することはないと考えられる。

しかしながら、中長期的に、同保険市場の発展を考える上では、各国が自由化の進展を目指すという共通の目的の下に、スケジュール感をもって共同で取組みを行うことの意義は大きいと思われる。法制度・行政面のレベルアップへ向けた整合、保険会社や販売チャネルの能力向上に向けての取組みなどの様々な動きがアセアン保険市場のさらなる発展に資することが考えられる。

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