12月ECB政策理事会: 15年初に政策効果を再評価、規模、ペース、構成比を見直しへ

2014年12月05日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

4日、欧州中央銀行(ECB)が12月の政策理事会を開催した。ターゲット型資金供給(TLTRO)の第2弾の実行を控えていることもあり、新たな決定はなかったが、声明文の修正で追加緩和への意欲を示した。TLTROの結果確認後、何らかの追加措置に動くであろうこと、国債買い入れという選択肢の協議を進めざるを得ないことははっきりしており、市場の失望は一時的なものに留まるだろう。

なお15年以降のECB政策理事会は、(1)政策理事会の意思決定方式の輪番制の導入、(2)開催頻度の変更(1カ月1度→6週間に1度)、(3)議事録の公開の開始という3つの点で変わる。情勢の分析と政策変更に必要なコンセンサスの形成に今までよりは長い時間を確保できるようになる。議事録公開で追加緩和の選択肢を巡る論点もより明確になることは期待できるのではないか。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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